●名タ協−「セダン特区」対応を検討

  福祉輸送の実績を初調査

 名古屋タクシー協会(森博一会長)は14日の定例理事会で、19日に認可予定の「愛知県全県セダン特区」への取り組み方針などを確認した。福祉関連委員会が先に全会員を対象に実施した福祉輸送実績アンケート調査結果について、石川優委員長が報告。アンケート調査は協会会員事業者である法人タクシー、個人タクシー、福祉限定事業者の取り組んだ輸送実績を把握、根拠付けておくのが狙いで、昨年度は約116万回、総輸送の約3%となっている。

 理事会では、NPO法人などが白ナンバーのセダンで要介護者など単独移動困難者の有償運送を可能にする「セダン特区」が認可されるのをにらみ、名古屋市から「市として8月中に福祉有償運送運営協議会を立ち上げたいので事業者代表として出席してほしい」と要請があったことを報告した。

 同時に2003年度、04年の福祉輸送実績アンケート調査の結果を報告した。事業者数ベースの回収率75・75%。台数ベースで86・94%。

 それによると、04年4月〜05年3月までの期間中、一般タクシーで72万6352回(障害者割引適用実績)。福祉タクシーは14万6075回。このうち介護型(福祉券使用)は2092回、療育型(知的障害者券使用)は1万1622回。個人タクシーの名古屋市福祉券使用実績は11万7079回となっている。

 これらを基礎に福祉関連委員会でアンケート未回収率から推計。名古屋交通圏(名古屋市内と周辺部)の全体推計値は昨年度116万4293回。年間総輸送回数3915万6029回に占める福祉輸送回数の割合は集計実績ベースで2・52%、推計値で2・97%。

 石川委員長は「あくまで低めに集計しているので実際には総輸送回数の3%は占めていると判断してよいのではないか」との見解を示した。集計には高齢者割引は含んでおらず「高齢者も多様で一概に福祉輸送対象者に該当するとはいえない」と説明した。

 森会長は「数値でみると、印象以上に実際にはよく取り組んでいることが判明した。運営協議会で胸を張って実情の話ができる。これを踏まえ、今後一層、交通弱者の移動に対応していかなければならない」と述べた。

 石川委員長も「外部の方々は福祉車両数だけ見て判断されるが、輸送の実績で見てもらう必要がある」と指摘した。

 ただ、一般市民の大部分には知られていないのが現状のようで、市民向けに福祉タクシーの実態をPRする必要がある事も明らかとなった。7日に愛知県タクシー協会(吉田稔会長)幹部とこの問題で打ち合わせを行ったことを報告した。

東京交通新聞 2005.7.18(月)