●学生無年金障害者訴訟

  札幌地裁、原告敗訴

  「立法府の合理的な裁量」

 全国各地で提訴された学生無年金障害者訴訟で六番目となる札幌訴訟の判決が四日に札幌地裁であり、原啓一郎裁判長は、国に対し障害年金不支給決定の取り消しと一人二千万円の損害賠償を求めた原告四人の訴えを退ける判決を下した。同種の訴訟で原告側敗訴の判決は三例目となった。

 訴えていたのは、札幌市白石区の田中士郎さんと四十歳代の男性三人。判決によると、田中さんは大学院生だった一九七六年に難病の多発性硬化症を発症。他の三人も学生時代の事故や統合失調症の発症で障害を負った。四人はいずれも国民年金に未加入だった。

 原裁判長は学生を国民年金に任意加入にしていた当時の規定について「立法府に与えられた合意的な裁量判断の限界を超えていない」などと述べ、憲法に違反しないとの判断を示した。また、「国家賠償責任が生じるのは、憲法が特定の立法を命じているのにあえてその立法を行わないという例外的な場合に限られる」などとし、国家賠償責任も発生しないとした。

 学生無年金障害者訴訟は、これまでに東京・新潟・広島・福岡の各地で原告側が勝訴。しかし、三月二十五日の東京高裁控訴審判決、五月十八日の京都地裁判決では、今回同様の理由で原告側の請求を棄却する判決が言い渡されている。

 判決を受け、原告側は「二十年以上の長期にわたり学生無年金障害者を放置してきた国の無策を追認した著しく不当な判決で、到底受け入れることはできない」と声明を発表。控訴する方針を示した。また、五日には、尾辻秀久・厚生労働大臣に対し、全ての無年金者・無年金障害者をなくすための根本的な施策を講じることなどを求める要望書を提出した。

福祉新聞 2005.7.11(月)