●福祉移送 若い発想で苦境打開へ

  全福協 配車センターに重点

 「着手に十分な活躍の場を提供し、意見を出していく運動を展開したい」−全国福祉輸送サービス協会の川村巌会長(宮園自動車社長)は先月30日、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで開かれた理事会・評議員会のあいさつでこう述べた。今回新任された副会長は若い人材が中心。閉塞(へいそく)感が覆う福祉輸送事業を若い発想がどう打開するか試されている。当面、各地での共同配車センター設置や福祉有償運送運営協議会での積極参加と提言などに重点的に取り組む。

 2004年度事業報告では、32社が退会し、9社が入会した。大会理由は@事業に魅力を感じなくなったA将来は不安だけで先が見えない−が主なもの。水田誠理事(十全交通、東京)は「1人1車の限定事業者を取り込んでいかないと組織が成り立っていかない」と指摘した。

 配車センターを助成金を得て各地に設置する動きが出ているが、佐藤一意顧問(日立自交社長、東京)は「消防庁に聞くと、救急電話の9割が福祉系の話で、民間が対応してほしいと言っている。今後、配車センターは重要な役割を担う」と強調した。

 2005年度事業計画は@配車センターの調査研究A消防庁の民間委託輸送の実態把握B急増する1人1車限定事業者・NPOの実態把握C福祉輸送サービスを企業ベースに乗せるためのモデル事業の試行D居宅指定事業者、ケアマネジャー、福祉団体との懇談会設置E福祉専用車両補助制度の確立F情報ネットワークの開発−など。都道府県単位の支部設置の促進も決めた。

 基本財産は厚生労働省と国土交通省が共管できる目安3億円は将来の課題とし、05年度は約3300万円の増額を決めた。積み増しされると基本財産は1億円となる。

 来賓出席した国土交通省の松尾庄一自動車交通局次長はあいさつで、「福祉輸送はソフト・ハード両面で改善していかなければならない面がまだある。タクシー事業者・NPOボランティア・医療法人・福祉法人など、位置づけをはっきりしていきたい」と述べた。

東京交通新聞 2005.6.6(木)