●病気・けが、緊急でないなら・・・

  救急車代わりにタクシー「出動」

  増える搬送、民間と協力

 東京消防庁は9日から、けがや症状が比較的軽い患者からの救急の要請に対し、診察可能な病院を探し出し、タクシーを手配する「サポートCAB」サービスを始める。増え続ける救急車の出動要請に対応するためで、全国初の試みという。「症状の重い患者の救命に力を注ぐためにも、緊急度が低い場合、救急車の代わりに利用してほしい」としている。

 昨年の都内の救急車の出動件数は約67万8千件。5年前と比べて約14万件増え、平均すると約47秒に1回になる。現場までの到着時間も平均6分18秒と、約1分遅くなった。

 東京消防庁は、昨年の出動で約2万件は緊急性が低かったと分析。こうした患者は民間業者に運んでもらうことができるとして、4月にストレッチャーや車いすを備えた車両を使う「民間救急コールセンター」をつくった。

 センターへの要請件数は7月までに約1700件に上ったが、専用の車両は台数に限りがあり、到着に時間がかかったり、利用料が高額になったりするために、患者側が断るケースも約200件あった。

 そこで、自分で歩くことができるが、病院までの交通手段がないといった患者を対象に、普通のタクシー料金ですみ、到着時間の短縮にもつながる新サービスを始めることにした。

 患者から症状を聞き取ったうえで診察可能な病院を紹介。タクシー会社に連絡して救急講習を受講した運転手のタクシーを指定場所に回してもらう。土曜日や日曜祝日、夜間も対応する。

 連携するタクシー会社は、全従業員の3割以上が救命講習を受講し、車内に人工呼吸に使うマスクなどを備えていることなどを条件にしている。

 東京消防庁は「搬送も、応急手当てもできるタクシーが走れば、救命率の向上にもつながる」と期待する。まずはタクシー会社1社と連携する。サポートCABサービスはコールセンター(0570・039・099)で受けつける。

朝日新聞 2005.9.4(日)