●骨太の方針2005決定 障害者の自立支援明記

  社会保障給付抑制、年内に結論

 政府は二十一日の臨時閣議で、経済財政諮問会議から答申のあった「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)二〇〇五」を決意した。少子化対策や障害者の自立支援の取り組みを進めることが明記される一方、争点となった社会保障給付費の抑制策については、経済と連動させた抑制目標を設定する方針は記載されず、具体策も年末までに結論を得ると先送りした。

 〇六年度の予算編成の指針となる「骨太の方針二〇〇五」では、今後二年間に取り組むべき重要課題として、@「小さくて効率的な政府」の実現A少子高齢化とグローバル化への対応B民需主導の経済成長――を挙げ、少子高齢化対策として「持続的な社会保障制度の構築」「次世代の育成」「人間力の強化」に取り組む考えを示した。

 持続的な制度構築のための方針では、@社会保障の一体的見直しの推進A過大な社会保障給付費の抑制B社会保険庁改革の推進C中央社会保険医療協議会改革の推進D健康・介護予防などの推進――を挙げた。

 このうち、給付費の抑制策では、特に伸びの著しい医療費の適正化を図ることが必要と明記、しかし、経済成長と連動させた「マクロ指標」など抑制目標の設定については明記せず、「実質的な成果を目指す政策目標を設定する」という表現にとどめ、具体策も「05年中に結論を得る」と先送りした。また、健康・介護予防では「健康フロンティア戦略」を本格化させることが必要とした。

 次世代育成では「国民が安心して子どもを生み、育てることができる社会を構築するため、官民挙げての国民的運動として少子化対策に取り組む」としたうえで、@「少子化対策大綱」「子供・子育て応援プラン」の着実な実施A高齢関係給付の比重が高い現在の社会保障制度の見直しB次世代育成支援対策推進法などに基づく企業の取り組み状況の情報開示――などを進めるとした。

 人間力の強化では、「我が国がグローバル化を乗り切り、成長を持続するためには全ての人が能力を最大限に開花させる社会の実現が不可避」とした上で、ニート・フリーター対策の強化や、外国人労働者受け入れのための総合的検討を進めるとした。

 また、障害者団体などから、障害者自立支援法案に対する見直し要望が相次いでいることを考慮し、「障害者の自立を支援するため、サービスの適切な確保とその利用者負担に関する低所得者への適切な配慮を図るとともに、重度の障害者を含めた、地域における多様な雇用・就労の場や生活の場を含めた、地域における多様な雇用・就労の場や生活の場の確保など、地域における就労・生活支援のためのハード・ソフトの基盤を速やかかつ計画的に充実強化する」などと障害者施策の推進を位置づけた。

 政府は、今後「骨太の方針二〇〇五」に基づき、〇六年度の予算編成を進める。同日の閣議で小泉首相は「〇六年度予算は引き続き歳出改革路線を堅持・強化する。新規施策の要求に当たっては既存政策の廃止・縮減などを各府省自らが取り組んでほしい」などと各大臣に指示した。

福祉新聞 2005.6.27(月)