●医療観察法 行動制限基準

  精神保健法と同様に

  社保審部会 答申

 七月に施行が追った心神裏失者等医療観察法の行動制限に関する告示について「精神保健福祉法と同様の基準で良いか」と厚生労働大臣から諮問された社会保障審議会の障害者部会(部会長=京極高宣・国立社会保障・人口問題研究所長)は十日、「同様の基準で妥当」と答申した。

 同法は心神裏失などの状態で重大な犯罪行為をしたが不起訴となった精神障害者の処遇を定めるもので、指定入院医療機関では手厚い医療が試みられる。

 ただ、あくまでも医療観察法の対象者は精神障害者であり社会復帰が目的なので、行動制限などを精神保健福祉法下の閉鎖病棟より厳しくはしない。

 具体的には、手紙や電話のやりとり、面会は基本的に自由とし、やむを得ない隔離(十二時間以上)の判断は精神保健指定医が行う。また、身体的拘束については自傷他害行為が切迫している場合などに限り、いずれの行動制限も実行した時は診療録に記載しなければならない。

 答申にあたり部会では「精神保健福祉法と同様に考えることは妥当」との意見が大半だったが、「医師や看護師が人手不足だった当時と同じのままの考えで良いのか」「豊かなマンパワーがあればどれだけできるか、指定入院医療機関はモデルになる。一般の精神病院に広げることも考えるべき」などと精神医療全体の基盤整備を求める指摘が相次いた。

福祉新聞 2005.6.20(月)