●「自立支援法は当事者抜き」 

  地域生活実現に逆行

  障害者ら2千人が抗議

 「障害者自立支援法案に異議あり!」―。DPI日本会議や全国自立生活センター協議会が呼びかけた「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」が十五・十六両日、厚生労働省前を中心に行われた。

 全国から集まった障害者らは初日だけでも約二千人。法案の閣議決定前夜に座り込みで抗議したピープルファースト(知的障害の本人組織)も合流した。

 一行はグランドデザインが提示された十月当初から一貫して「当事者抜きだ」と訴え、継続的な抗議行動を展開してきた。「当事者抜き」とは、法案づくりの議論にかかわれなかったことだけでなく、新たな仕組みでは自己決定が反映されにくいという具体的な指摘も指している。

 法案は、障害者がサービス利用を申請し、市町村が支給決定する仕組みを描いているが、市町村審査会が障害程度区分の認定に入るため、「サービス量や内容を専門家に決められてしまう」と言う。個人の状況を「勘案」する余地が無くなるのではと言う不安だ。

 負担増への反発も強く、「自立の第一歩は家族への依存からの脱却」と、世帯単位で見る応益負担の導入に反対。また、授産施設など工賃を得る場にもサービス利用料として負担がかかることを「就労支援策を強化するという方針に矛盾する」と指摘。金額的な負荷のみならず、理念の逆行をも問題視している。

 一行はいわゆる当事者の中でも特に地域生活の実現を追求してきた。法案が成立すれば、今年十月から段階的施行となることから、「施設サービスの再編を五年かけて検討するように、地域生活サービスも屈速に実施しないでほしい。当事者を交えて十分検討してほしい」と訴えている。

 厚労省は今回の改革を「財源不足解消のため急がざるを得ない」と説明してきたが、参加者の中には「お金がないから諦めろと言われるなんて」と怒りが治まらない人もおり、こうした声を伝えようと、各政党議員との懇談会や厚労省との面談も持たれた。

福祉新聞 2005.2.21(月)