●真の自立支援向け連携密に

  全国救護施設協議会-会長 森 好明

 一九九三年から約十二年にわたり会を牽引してこられた田中亮治氏が、会長退任のご意向が示され、その後任を仰せつかることになりました。微力ではありますが、救護施設発展のため尽力する所存です。

 救護施設は、生活保護法第三十八条第二項に規定された施設です。「身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難なよう保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設」と書かれています。現在は全国に百八十二施設が設置されており、二〇〇三年十月の時点で、約一万七千人の方が生活されています。

 救護施設の特徴は、障害の種類にかかわらず保護を要する方が利用できる点です。現状は、身体・知的・精神のいわゆる三障害のみならず、生活障害あるいは対人関係障害ともいえるような方々の利用が増加しつつあります。ホームレス、アルコール依存症、DV(ドメスティックバイオレンス)被害者の方々などを受け入れ、自立支援を行っています。このように他方の施設では受け入れることが難しい方々についても、救護施設は必要に応じ、いつでも対応できる施設であるといえます。

 先に、生活保護法第三十八条第二項の条文を引きました。しかしながら救護施設は、生活扶助を行うだけの施設ではなくなっています。利用者の生き方や自己実現に対する希望や施設に対する要望などを伺いながら、施設内での自立はもちろん、退所の希望のある方については、施設を出て地域での生活が実現できるように、個別に計画的支援を行っております。

 昨今、救護施設に期待される機能としてホームレスに対する自立支援を行うこと、精神障害者の社会的入院解消のための受け皿となることがよく言われるところです。これらの課題にも、これまで以上に対応していく所存ではありますが、救護施設単位の取り組みでは限界もあります。福祉事務所を始め、地域の様々な社会資源と連携しつつサービス提供を行うことが、利用者にとっての真の自立を支えることになるのではないでしょうか。

 昨年度報告書が出された社会保障審議会福祉部会の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」では、田中前会長が委員として、救護施設の現状や、支援を要する方々と日々向き合う中やむにやまれず生ずる思いを発言し続けました。

 報告書を読みますと、実態を踏まえて頂けた部分もあり評価しているところですが、課題とされた最低基準の検討や自立支援プログラムとの関連で果たすべき役割などについては、今後、障害福祉施策変革の動向も見据えながら研究し、より利用しやすい、セーフティーネットとして十分に機能的な救護施設となるために、制度改善等の要望も続けていく所存です。
 関係各位のご指導ご鞭撻をお願いする次第です。

福祉新聞 2005.9.5(月)