●全国8ヵ所でモデル研修

 有償運送人材育成検討会が初会合

 交通エコロジー・モビリディ財団(淡路均理事長)は16日、東京・弘済会館で有償ボランティア輸送に携わる運転者と運行管理責任者(リーダ)の人材育成に向けた「教育体制の整備検討会」の初会合を聞いた。安全運転や接遇・介護の仕方など統一的な研修カリキュラムを基に、9月から全国8ヵ所モデル地図(札幌、仙台、東京、長野、名古屋、大阪、岡山、熊本)で議論・実技訓練を順次実施することを決めた。

 委員長に秋山哲男・東京都立大学大学院教授を選任、同教授はカリキュラムの水準について「すべての移送ボランティアのレベルが底上げできるよう、最初は初歩的な内容に仕上げることが必要ではないか」との姿勢を示した。

 検討会では国主導による運転ボランティアの教育体制整備の必要性について▽移送サービスを行っている社会福祉法人やNPO(民間非営利団体)などの多くは組織基盤がぜい弱で運行管理・事故処理体制が十分に整っていない▽運転者に輸送の安全に関する講習を受講させている団体は1割に満たない−などと背景説明された。

 カリキュラム・テキスト作りはNPO系メンバーを中心としたワーキンググループで、既存の研修体制を参考しながら7〜8月に練り上げていく。国土交通省の実証実験事業のため、体験者へのアンケート調査を行い今度末に報告書を作成する。行政通達上で受講を業務づけていく、メンバーは次の通り。

(敬称略・順不同)

【学識経験者】秋山哲男(東京都立大学大学院教授)、藤井直人(神奈川リハビリテーション事業団リハビリテーション工学研究室)、北川博巳(東京都老人統合研究所究員)

【市民団体】伊藤正章(移送サービス運営マニュアル編集委員会代表)、伊藤みどり(NPO福祉交通支援センター事務局)

【行政】後藤靖子(国土交通省統合政策局交通消費者行政部長=6日付で海外出向)、関口幸一(同自動軍交通局旅客)、坂明(警察庁交通局運転免許課長)、香取照幸(厚生労働省老健局振興課長)、高原弘海(同社会・援護局障害福祉課長)

【関係機関】梶山孝(自動車事故対策機構業務一部管理指導課長)、小暮航一(シルバーサービス振興会広報研修事業課長)、川村泰利(全国福祉輸送サービス東京副支部長)、三浦一郎(日本財団公益・ボランティア支援グループ長)

東京交通新聞 2004.7.5(月)