●「難病患者」に割引適用

  神夕協川崎支部全社賛同、申請へ

 神夕協支部(関進支部長)は1日の支部会で、神奈川県の特定疾患医療給付制度の対象となっている「難病患者」に障害者割引などと同様の公共的割引(運賃1割引)を適用することについて、全社が賛同した。月内に関運局に「難病患者割引」を申請する予定で、実施は全国初となる。川崎市の個人タク協組も同一歩調をとる。川崎市が昨年4月、同支部に打診、検討が始まったが、同じ京浜地区で患者数も多い横浜市も動き、両市は昨年12月、業界側に正式申請。県も先月17日付で割引適用の要望書を神夕協各支部、神個協に提出した。自治体側は電車、バス利用が困難な難病患者の通院支援にタクシーの役割は大きいとし、前向きな検討を期待している。

公共的割引で全国初

 川崎支部は「難病患者割引」の実施決定について、川崎個人タク協組(岩井康行理事長)、川崎第一個人タク協組(安部光雄理事長)に伝え、法・個業界そろって割引適用申請を行う運びとなった。

 関支部長は「全国的に運賃値引きの動きが出ているが、従来から公共的割引として福祉に配慮して、身体障害者、知的障害者、精神障害者に手帳堤示で1割引を実施してきた。今回、難病患者にも適用することに支部全事業者が賛同していただき感謝している」と話している。

 県によると制度対象の「難病患者」は約3万6000人。うち川崎市は約4万7000人(構成比13%)、横浜は1万5000人(同42%)と京浜地区で過半数を占める。川崎市では3割が身障者と重複。

 川崎市は昨年12月3日、健康福祉局長名で川崎支部に要望書を提出。

 次いで横浜市も同8日、衛生局長名で横浜支部(新井聖員支部長)に要請書を出した。同支部は同20日理事会では対応を「保留」した。

 川崎、横浜両市の動きを踏まえ、県は先月17日付け衛生部長名で、割引適用が全県で実現するよう神夕協の横須賀、鎌倉、相模、小田原など各支部、神個協(山里武会長)に要望書を提出した。

 今後、神夕協各支部は対応を検討することになる。神個協は「各地区法人タクに足並みをそろえる。実施はやぶさかではない」(山里会長)とのスタンスだ。

 自治体側が要望している、割引適用対象は、神奈川県の@特定疾患医療受給者証(重症、一般の2種類)の所持者と同乗介護者A特定疾患登録者証登録者証の所持者と同乗介護者B先天性血液凝固因子障害医療受給者証の所持者と同乗介護者―となる。これら受給者証、登録者証の提示でタク運賃1割引を適用してほしいとしている。

 原因不明で治療方法の確立していない「難病」のうち、厚生労働省が決める45疾患が「特定疾患」。再生不良性貧血、ベーチェット病、多発性硬化症、重症筋無力症、パーキンソン病などかある。先天性血液凝固因子障害は血友病、薬害HIV感染者らが含まれる。

 り患者の医療費が高額になるため、県は一定の認定基準を満たした者に医療費の一部を公費負担する制度を敷いている。

東京交通新聞 2005.2.7(月)