●第20回焦点−グランドデザイン

  厚生労働省障害保健福祉部

  企画課課長補佐 土肥克己

 今回は、福祉サービスの利用者負担について紹介します。

 二〇〇三年度に始まった現行の支援費制度により、知的障害者や障害児を中心に、多くの方が新たにサービスを利用できるようになりました。

 サービス利用者の増加に伴い、その費用も急速に増加しているところです。このため、今後とも増加するサービスを確保していくためには、その費用について、福祉サービスの利用者の方々を含め皆で支え合っていくことが必要となっています。

 このため、障害者自立支援法案については、一割の低額負担と月額の負担上限を設ける仕組みを導入するとともに、障害者の在宅サービスに関する国及び都道府県の負担を義務的なものとすることとしています。これらにより、必要な財源を確保しながら制度をより安定的に運営することができるものと考えています。

 また、食費などの実費については、障害があってもなくても生活していく上で負担すべき費用であること、地域で生活する場合でも施設利用する場合でも等しく負担することが公平であることから、自己負担を原則としています。この見直しにより、地域での生活と入所施設での生活を費用面ではなく、障害者の状態などに応じて選択するという仕組みが実現されると考えています。

 このような利用者負担を求めるにあたっては、障害者の方には負担能力の乏しい方がいることも配慮し、収入の状況に応じた数段階の月額負担上限額を設定することとしています。

 またこのほか、食費などの実費負担については、入所施設で暮らす方で収入が乏しい方の負担軽減を図るため補足的な給付を行うことや、グループホームや入所施設で暮らす方で一定額以上の預貯金のない方に対し、個別の収入に着目して利用者負担を軽減できる仕組みを激変緩和措置として設けることとしています。

 さらに、定率負担をすると生活保護を受けざるを得なくなる場合には、収入や預貯金に応じ、個別に減免する仕組みを設けるなど、所得の少ない方に対してきめ細やかな配慮措置を講じることとしています。

福祉新聞 2005.6.27(月)