●焦点−グランドデザイン

  厚生労働省障害保健福祉部企画課 課長補佐

  土肥 克己

 第17回自立支援医療

 従来、障害者に関する公費負担医療制度は、精神障害者については精神通院公費負担医療、身体障害者については更生医療、障害児については育成医療と三つに分かれて実施されてきました。

 この三つの制度の利用者負担の仕組みを見ると、精神通院公費については、医療費に応じて一律に5%の定率負担となっているため、低所得者であっても高額の医療費の場合には高い負担を求められています。一方、更生医療・育成医療については、所得に応じた応能負担となっているために、医療費の額の多寡が利用者負担に反映されていません。
 つまり、障害者の間で、制度の違いによって負担軽減の仕組みが異なっているのが現状です。

 また、精神通院公費、更生医療の対象者(人口の約1%)の増加に伴って障害者にかかる公費負担医療制度の費用は急増しており、財政的に極めて厳しい状況のもと、現行制度のままで維持することは非常に困難になっています。

 こうしたことから、制度間の負担の不均衡を解消し、必要な医療を確保しつつ制度を維持するため、皆で費用を負担し支え合う仕組みへと見直すこととしています。

 まず、利用者負担の面では、医療費のみに着目した負担(精神)と所得にのみ着目した負担(更生・育成)を、「医療費と取得の双方に着目した負担」の仕組みに統一します。医療保険制度の三割定率負担よりも負担の上昇を緩やかにするため、原則として一割定率負担をお願いすることと併せて、低所得の方などについては、医療費が家計に与える影響に配慮し、月当たりの負担額に上限を設けることとしています。

 また、医療内容の面では、更生医療、育成医療では既に制度化されている指定医療機関制度について、精神通院公費にも導入します。これにより、都道府県知事が行う診療内容及び公費請求の審査・監査等を通じて、医療内容の質の向上に貴すると考えています。併せて、支給決定の有効期間を最大一年に統一し、一年ごとに医療の必要性や所得の状況を確認するなど、再認定を認める場合や拒否する場合の要件等を明確化します。

 なお、対象となる病院の範囲については、現行制度の範囲と同じです。
これらの見直しを通じて、公費負担医療制度が、より安定的、効率的なものとして持続可能な制度となるよう努力してまいります。

福祉新聞 2005.6.6(月)