●厚労省検討会議 障害者就労施設体系見直しへ

 機能ごと3種型に整理 今月にも有議者集め本格議論

 厚生労働省が二月に立ち上げた「障害者の就労支援に関する省内検討会議」が九日、今後の施策の方向性を固めた。就労支援策を強化すると同時に福祉施設の再編も図ろうというのが大まかなあらすじ。施設体系は五年程度かけて@一般就労に向け支援するとともに就職後のフォローアップもする施設A日中活動の場B企業で雇用は難しい人が労働者として働く施設―の三種型に見直す。今後の施策の具現化については、今月中にも有識者懇談会設置して詰めていく。

 省内検討会議は、厚生労働審議官をトップに、職業安定局や、社会・援護障害保健福祉部など部局をまたいで幹部が集まったもの。福祉と雇用に分断せず制度を横断的に議論するプロジェクトーチームだ。

 中でも職業安定局は「二〇〇八年度までに、障害者の雇用を六十万人に増やす」(現在は五十二万人)という数値目標を今年度初めて掲げた。障害保健福祉部も就労支援を重視しており、一般雇用の強化、働く場の拡大、雇用施策と連動した福祉施設の再編と機能強化が拡大となっている。

 これまで、障害者雇用が進まない理由には、福祉現場から企業へ障害者を送り出す施策が弱いだけでなく、受け入れる企業を支える施設も弱い、その間を埋める施策が欠けていることが指摘されてきた。

 障害保健福祉部の村木厚子企画課長は「一般就労へシフトすることに合わせて、企業を辞めずに済むよう、また辞めてもフォローできるよう、一人ひとりのキャリアプランを作る」と将来像を描く。

 新たな施設体系は@就労移行支援A日中活動B継続的就労―の三タイプに類型分けする。

 現行では援産施設、小規模通所授産施設、更生施設など縦割りで複雑な上に機能も混在化している。福祉工場が増えない一方、無認可の小規模作業所ばかりが減増するというアンバラスンスさもある。

 これらの施設体系を日中活動の場なのか、訓練の場なのか、働く場なのかという機能に着目して再編する。村木課長は「小規模多機能型に組み直す」とも説明している。

「就労移行支援タイプ」の施設には、就職後のフォローアップ、ジョブコーチにもる就職先での支援、企業を辞めて施設に戻ってきた人が再挑戦できるような支援も機能として入れ込む。

 また、現行の福祉工場が想定され「継続的就労タイプ」では人員基準などの規制を緩和することや、ハローワークの職業紹介を通じて利用してもらう仕組みも検討する。

 こうした新体系を前提に、障害者自身の意欲や能力に応じて動けるように一人ひとりのキャリアプランを立て流れに乗せる。

 新しい取り組みとしては、精神障害者に雇用率制度を適用すること、在宅就業者へ仕事を発注する企業に経済的なメリットを持たせることなども挙げている。

 しかし、来年度予算の概算要求に何を盛り込むかについては「財務省との協議が必要なので、まだ答えられない。支援費が不足している中、早急には若手できない可能性もある」としている。

 なお、今後は各部局に省内検討会議の方向性を報告したあと関係審議会で議論されるほか、「障害者の就労支援に関する有識者懇談会を立ち上げる。発足は今月下旬の予定で、座長には堀田力・さわやか福祉財団理事長が就く。

 福祉新聞 2004.7.19(月)