●障害者自立支援法国会に提出

  応益負担導入が焦点

  種別ごとの施策一元化 

  10月から段階的施行目指す。

 身体・知的・精神障害者の施策を一元化する障害者自立支援法が十日、国会に提出された。厚生労働省が一月に示した骨格案から内容を一部修正、名称も障害者自立支援給付法案から「給付」を削った。審議の始まりは、四月下旬になる見込みで、成立すれば、十月から「自立支援医療」の自己負担増が導入され、2006年一月には介護給付などの一割負担、国・都道府県予算の義務的経費化と、段階的に施行される。

国・都道府県の予算義務化

 法案が目指すのは、総合的な自立支援システムの構築。これまでの障害福祉サービスを「介護給付」「訓練等給付」「自立支援医療」「補装具」「地域生活支援事業」に再編。個別給付について原則一割の応益負担を導入する。一方、国・都道府県の予算を義務的経費化する。応益負担の導入に際しては、サービス量と所得に応じて月額の負担上限を設ける。最高は四万二千円だが、低所得者は二万四千六百円と一万五千円の二段階に設定、生活保護世帯は無料とする。負担軽減するかどうかは本人の所得のみではなく、同一生計者の経済力と合わせて判定する。

 また、都道府県・市町村には、障害福祉計画にサービス量確保の方策を盛り込むことを義務化し、基盤整備の責務を明確にした。

 介護給付や訓練等給付を受ける際の手続きは、障害者及び保護者が市町村に申請し、支給決定を受ける。サービス利用の必要性や量を客観的に判断するため、市町村には審議会が設けられ、その判定に基づき障害程度区分を設定した上で決定する。サービスは都道府県が指定する「相談支援事業者」がアセスメントを行い作成した利用計画案により提供される。(利用者本人の申請も可)。

 実際にサービスを提供する事業者も都道府県が指定。運営のまずい事業者の指定を取り消すことができることとし、指定を取り消されてから五年たっていない時などは再指定できない規定も設けられた。

 障害にかかる公費負担医療制度(自立支援医療)も仕組みが三障害共通になる。医療機関を指定制にし、支給決定の有効期間を一年に統一。介護給付などと同様に自己負担は一割とし、低所得者には所得に応じて月額負担上限を設けるが、所得のある世帯は医療保険給付の対象となるため三割負担となる人も出る。

 応益負担導入をめぐっては、障害者からの反対が強い。主要障害者団体がこぞって「自立を尊重し、扶養義務を撤廃すべき」と要望し続けてきたことに理解を示す議員もいることから、今後、国会で争点となりそうだ。また、法案は現行の障害者三法を前提とした一元化のため、「谷間におかれた障害者の問題が解決される施策の総合化を」と求める団体も多い。

 法案が成立すれば、十月にも段階的な施行が始まるため、経過措置が設けられる見込みだ。

 なお、法案の名称が変わった背景には、負担増が色濃い内容なのに給付が強調されることへの反感があった。また、グランドデザインのねらいが地域福祉の実現にあることを明確にしようとする意図も含まれている。

福祉新聞 2005.2.21(月)