●乗降介助 障害者輸送にも適用

  10月から厚労省 06年に抜本改正も

 厚生労働省は10月1日から障害者支援制度に介護タクシーなどに支払う「通院等乗降介助」の報酬体系を新設する。介護保険制度と同様に同報酬単価は輸送1回1000円を設定、乗降介助に連続して手間のかかる身体介護を行う場合は身体介護中心の報酬30分未満2310円を請求できる。28日、支援費制度に関する身障者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法の改正を告示、10月からのサービス供給分から報酬請求できるようにする。同制度は2005年の介護保険制度の見直しに合わせ、統合が検討されており、06年4月の改正介護保険法施行時に再度抜本改正される可能性もある。

 障害者支援費制度は昨年4月、障害者福祉サービスを行政による措置方式から利用者による契約方式に転換してスタート。介護保険の指定を受けていれば支援費制度の指定居宅介護の指定が受けられるため、訪問介護の指定を受けた介護タクシー事業者や施設送迎しているリフト付き福祉タクシー事業者、民間訪問介護事業者などが同制度を活用し障害者輸送事業を行っている。

 今回、介護保険に合わせて介護タクシー向けの「通院等乗降介助」報酬体系を新設、乗降介助の適正な実施と乗降介助・身体介護の適用関係について厚労省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長名で都道府県に通知した。それによると、乗降介助の算定では道路運送法等に抵触しないよう留意するとし、移送行為自体(運転時間中)は算定対象ではなく、移送経費(運賃)は引き続き評価しない。ほかに▽片道で算定▽通院先の院内の移動等介助は乗降介助に含まれ、別に身体介護中心で請求できない―――などとしている。

 乗降介助(1回1000円)身体介護(30分未満2310円)とでは報酬に1300円以上の開きが出るが、乗降介助の前後に連続して「20分〜30分程度以上」を要する身体介護を行う場合は身体介護中心で算定できる。例として「寝たきりの利用者の更衣介助や排せつ介助をした後、ベッドから車いすへ移乗介助し、車いすを押して自動車へ移動介助する場合」をあげている。

「介護予防サービス構築」

香取事務局長研修会で新指針

 厚生労働省は21・22の両日、全国市町村を集め介護予防モデル事業研修会を開催した。同省老健局介護保険予防重点対策本部の香取照幸事務局長(老健局振興課長)は介護保険制度改革後の介護予防システムについて「要介護状態になる前の段階から、要支援、要介護1程度までの高齢者に対し、統一的な体系の下で連続的・効果的な介護予防サービスを提供する総合的なシステムを構築する」との考えを明らかにした。

 具体的には現行の老健事業、介護予防・地域支え合い事業を見直し、効果的な介護予防サービスを提供する地域支援事業(仮称)を創設する一方、要支援と要介護1程度までの軽度者に対する給付を見直し、新予防給付を創設する。介護予防推進のための評価委員会を設置、開発小委員会が新たな介護予防サービスの開発などに当たる。

 香取事務局長は1日、全乗連のケア輸送対策特別委員会でこうした動きと移送サービスとの関係について講演する予定。

東京交通新聞 2004.9.27(月)