●盲・ろう養護学校 職員にたん吸引を認める

  看護師常駐など条件

  厚労省報告書 個別支援計画の作成を

 盲・ろう・養護学校に通う子どものたんの吸引を看護師との連携や保護者の同意を得ることなどを条件に教員が行うことを認めた報告書が、このほど発表された。厚生労働省の「在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律学的整理に関する研究会」(座長=樋口範雄・東京大学院教授)が今年五月から検討してきたもので、教員が行える標準的範囲やその前提となる条件が明示された。

 報告書が一定の条件の下で教員に認めたのは、@咽頭より手前のたんの吸引A咳や嘔吐、喘息などの問題のない児童生徒で留置されている管からの注入による経管栄養B自己導尿の補助―の三つ。

 これらは文部科学者が一九九八年度からモデル事業として四十都道府県で実施してきたもので、研究会は「医療事故発生はなく、看護師と教員の連携で円滑に実施できた」として、すべての盲・ろう・養護学校で実施する際の標準的手順と条件を改めて整理した。

 教員が行える標準的範囲は、たんの吸引では「咽頭より手前の範囲なら研修を受けた教育が行えば危険性は低い」と実施を認め、咽頭より奥の吸引は看護師が行うことが適当した。

 経管栄養では、鼻からのチューブ挿入状態の確認などは看護師が行うべきだが、胃ろう・腸ろうからの栄養物の注入は安全性が高いため教員にでも可能とした。導尿については、カテーテル挿入時に尿器や姿勢保持などを補助することを認めた。

 実施の条件としては、保護者と主治医それぞれから書面で同意を得ること看護師と教員が連携・協働すること、子どもが学校にいる間は看護師が常駐することが挙げられた。さらに、保護者、主治医看護師、教員が参加して子どもの個別的な支援計画を作ることや、必要な研修を受けることが必要などとした。

 厚労省は昨年六月に在宅ALS患者について、医師や看護師の指導を受けることや患者の合意を得ることなどを条件に、家族以外の人にもたん吸引を認める報告書を出しており、十月下旬からは「ALS以外の在宅患者に対するたんの吸引行為」について検討開始し、今年度中に報告書をまとめる予定だ。

福祉新聞 2004.10.11(月)