その他情報(2006年11月~12月)

高額医療・介護を合算  08年春から
高齢者標準世帯  負担上限年56万円

厚生労働省は、公的な医療保険と介護保険の自己負担の合計が一定額を超える世帯に対し、超過分を払い戻す「高額医療・高額介護合算制度」の概要を決めた。08年4月から設ける。現在、入院やリハビリなどで高額な自己負担を支払っている場合、医療、介護それぞれで上限額を設けて払い戻す仕組みがあるが、両方で自己負担が年間で100万円近くになる世帯もある。現行の払戻制度に加えて合算制度を導入することで、年間の支払総額を軽減させ、標準的な収入(住民税課税対象者で、年収520万円未満)の高齢者世帯の場合、最高でも56万円で済むようにする。
現在は、医療、介護保険にはそれぞれ「高額療養費制度」「高額介護サービス制度」などという払い戻しの仕組みがある。70歳以上の標準的な収入の世帯の場合、入院医療費の上限は月4万4400円(年53万2800円)、介護サービスは月3万7200円(年44万6400円)で、これを超える自己負担額は、全額払い戻しされる。月単位で精算されるが、同一世帯で医療保険と介護保険の両方利用している場合、払い戻しを受けた後でも最高で年間98万円支払わなければならない。
新しい合算制度は、今年6月に成立した医療改革関連法に盛り込まれ、医療改革による自己負担の増加を少しでも緩和するねらいがある。医療と介護で月ごとに払い戻しを受け、それでも両方を合わせた年間の世帯負担額が一定限度を超えた場合、加入する医療保険に申請すれば、超過分が払い戻される。払い戻しの費用は、医療保険と介護保険の両方で負担する。
限度額は、年齢や所得、加入する医療保険に応じて細かく設定。75歳以上で年収520万円未満の標準的な収入の夫婦世帯の場合、限度額は年56万円。520万円以上の高所得者は67万円、住民税非課税の低所得者は31万円、などとなっている。
03年度に払い戻されたのは、共済組合を除く医療保険で839万件、計8004億円で、介護保険では504万件、計337億円だった。

朝日新聞-2006.11.02

高額療養費  払い戻し手続き不要に
来春から70歳未満入院分

一定額以上の医療費を支払った場合に払い戻しを受けられる高額療養費制度について厚生労働省は、超過分を後から払い戻す現在の方式を改め、来年4月から入院治療については窓口で上限額を支払えば済むようにする方針を固めた。窓口の支払いのために一度に多額の現金を用意し、後から払い戻しを申請する手間を省くとともに、政府管掌健康保険(政管健保)だけでも年間約70万件とみられる申請漏れによる医療費の払い過ぎを解消するのがねらいだ。
例えば、一般水準(月収53万円未満)の所得者が胃がんの手術を受け、1ヵ月の医療費が150万円かかった場合、3割負担だと自己負担は45万円となるが、高額療養費制度を使えば、負担は約9万2千円になる。
従来は、いったん窓口で45万円を支払った後、政管健保や市町村の国民健康保険(国保)など加入している保険者に払い戻しを申請し、差額の35万8千円を受け取る仕組みだった。新制度では、最初から窓口で9万2千円を支払うだけで済む。ただし、事前に保険者から所得に応じた自己負担限度額の認定証の交付を受けておく必要がある。
同様の措置は70歳以上については02年10月に導入済み。70歳未満でも、大企業の健康保険組合や公務員の共済組合の多くは、申請しなくても保険者から払い戻される仕組みになっている。
しかし、中小企業の従業員が入る政管健保は取り組みが遅れ、今年4月に対象者への通知を始めたばかり。自営業者らが入る国保では、本人への通知もしていないところもある。
社会保険庁によると03年度、政管健保で高額療養費制度の対象となるケースは約179万件あったが、実際に払い戻されたのは約110万件。70万件は申請がなかった。

朝日新聞-2006.11.01