● 24時間配車 参加団体募る

ホップ障害者地域生活支援センター  竹田 保

 特区非営利活動法人(NPO法人)のホップ障害者地域生活支援センター(札幌市、竹田保代表理事)は、道内の他NPO法人やタクシー会社などと共同で五月をめどに配車センター設置を計画している。24時間対応でどこでも車を差し向け、体の不自由な人の通院や買い物などの利便性向上を目指す。

 竹田代表理事によると、NPO法人のサポート24(札幌市)や札幌市肢体障害者協会、光星ハイヤー(同)などが今回のプロジェクトに参加する予定。共同で設立する配車センターもNPOにして、各団体・事業者が会員になって運営を支援する案が出ている。

 具体的な仕組みは、まず利用者がセンターに登録したうえで、電話などで車の手配を要請する。タクシー会社だけでなくホップ障害者地域生活支援センターなど各団体も車両を保有しており、その中から車いすも一緒に積み込めるなど利用者の要望に応じた車両を24時間配車出来るようにする。

 光星ハイヤーの大本衛社長は『社会貢献が第一の目的だが、新たな需用開拓も期待している』と話す。センターと各車両には全地球測位システム(GPS)も導入し、効率的な配車を目指す。利用者にも必要に応じてGPS機能付きの携帯電話を持ってもらう。どこにいるかがセンターで一目で分かるため、車を呼んでいた場所からトイレなどに移動したとしても車を待機させておくことが可能になる。

 「たまにはススキに飲みに行きたいと思っても、帰宅時の交通手段の確保が難しい」。自身も車いすの利用者である竹田代表理事は今回のプロジェクトを考えたきっかけを話す。

 例えば午後七時ぐらいまでにタクシー会社に電話で予約しておかないと、深夜にすぐに配車してもらうのは難しいという。ホップ障害者地域生活支援センターでも三台程度の車を体の不自由な人の移動を支援するために稼働させているが、深夜の要請までは対応できないという。

 昼間の場合でもボランティアスタッフ確保の問題などから突然の利用に応じることが難しい場合がある。体の不自由な人を支援する複数のNPO法人やタクシー会社が集まることで、利用者の選択と行動の範囲広がる効果を見込んでいる。

 竹田代表理事は自分が入院した時の体験からセンターを核として新たなサービスを提供することも視野に入れている。入院した時の衣服や下着の洗濯で苦労したためで、患者の家族らに代わって主婦のボランティアなどに洗濯してもらい、センターの車両を通じて顧客に届ける。

 ホップ障害者地域生活支援センターなどは現在、他の団体やタクシー会社にもプロジェクトへの参加を呼びかけており、並行して北海道庁や北海道運輪局など関係機関と協議しながら五月をめどにサービス開始を目指す。料金は現在検討しているが、車両のタイプにかかわらず通常のタクシー料金で利用できるようにして、経済的負担を軽減する考えだ。

 竹田代表理事は「私たちが考えているサービスは本来、行政がやるべきだが、待っていても始まらないので、自分たちで作りあげていく」と強調する。実現すれば全国的にも珍しいプロジェクトで関係者から注目を集めそうだ。

平成16年3月16日 日経産業新聞 (札幌支社 菊池広康)