・安全運転者に個人タク資格

・タク運賃は現行の4割程度

・NPO有償運送に児童追加


 今回の申請は523の自治体などから特区・地域再生提案が652件、規制改革要望が927件出された。国の2005年度予算編成に関連する項目の採否は来年1月を予定している。

 宮崎県が提案した「個人タクシー設立特区」は、ゴールド運転免許(無事故・無違反5年)所有者が2種運転免許を取得、安全面に配慮することで個人タクの資格を与えるという構想。観光客や山間過疎地の高齢者、市街地の住民ら向けに手軽で安価な交通機関として整備し、経済活性化につなげる考えだ。

 宮崎県商工観光労働部は「規制緩和時代なのに個人タクシーになるためには、法人タク運転歴10年以上など一部のドライバーにしか開業の機会がない。地元は鉄道・バスの基盤がぜい弱。セーフティードライバーに個人タク参入を促し、地域の足を担ってほしい」と期待している。

 双葉タクシー(通称・ふたばタクシー、松浦正親社長=タクシー50台・バス5台)は地域再生計画としてタク利用活性化を提案。具体的には@タクシー運賃水準を現行の40%程度に下げるなど「自動認可枠」の弾力化。A車内空間が広い中型車(地元は小型車が主力)で小型運賃を設定できるよう運賃車種区分の廃止。Bタクシー乗降の安全面に配慮した道路の植え込み整備−(道路法基準の柔軟化)−が柱。

 松浦社長は「タクシーは雨の日やけが人襲うゲイなど日常生活の中でサブ的に使われ、富裕層しか利用できない。初乗り200〜300円くらいにして気軽な乗り物にし、市民の生活サイクルにタクシーを組み込むインフラ作りが必要。このままだとタク産業はじり貧になるが、逆に大きく発展する可能性を秘めている」と問題提起している。

NPOから多数の意見

 NPOなど有償運送事業の規制改革をめぐっては「乳幼児や児童は単独では移動が困難。子育て援助のためにも、通園・通学を含め送迎対象に加えるべき」

「ボランティアは近所の助け合い活動が本質なので、運営協議会に営利のバス・タク関係者の参加は不要」

「セダン特区では運営強の協議が整わないなどで使用許可が受けられない。セダンが他社は広く使われており、無許可使用が続発する」−などの意見が出された。

特区・再生計画・規制改革提案

 政府が6月中に自治体や企業・個人から申請を受け付けた構造改革特区、地域再生計画、規制改革・民間開放の3分野に関する提案・要望の概要が6日に公表された。自動車交通関係では、個人タクシー資格要件を緩和し観光・過疎の活性化を目指す「個人タクシー設立特区」(宮崎県)、タクシー運賃を現行の4割水準に下げて利用者が気軽に乗れる交通機関への転換(双葉タクシー=大分)、NPO(民間非営利団体)ボランティアなどによる有償運送事業の旅客に乳幼児・児童を追加(全国のNPO多数)など多くの案が出された。内閣官房・内閣府が国土交通省など所管省庁と調整したうえ、9月をメドに採否が決定される。


自動車交通分野の主な特区・再生計画・規制改革提案

申請者 提案内容
【構造改革特区】
宮城県塩釜市 離島車検特区
NPO志木の輪(埼玉) レンタカー型カーシェア特区変更
岐阜県経済同友会 公共交通特区
福井県 観光バス官庁駐車場利用特区
宮城県 個人タクシー設立特区
【地域再生計画】
北海道伊達市 少子高齢社会交通システム
福島県喜多方市 デマンド型乗合タク
大阪府豊中市 救急・医療・介護コールセンター
高知パレスホテル 小規模バス創業
マイカー乗合oita 過疎地マイカー乗合制度
研究グループ(大分)
ふたばタクシー(大分) タク利用活性化(運賃を現行の4割に▽中・小型車種運賃撤廃)
【規制改革・民間開放】
愛知県 セダン特区全国化▽運営協主宰を運輸局に
NPO等多数 セダン特区全国化▽運営協メンバーにバス・タク不要▽運営協設置義務明示▽NPO支援団体を許可申請の対象に▽乳幼児・児童を旅客に追加

※6月中に内閣官房・内閣府が受け付けた申請一覧をもとに本紙作成

東京交通新聞 2004.7.12(月)