●障害者自立支援法案 当事者の意見受け質疑GH利用条件検討へ「地域生活支援」の予算確保も明言 尾辻厚労相 障害者八団体の各代表が障害者自立支援法案について意見陳述した翌日(十八日)の衆議院厚生労働委員会の質疑は、これまで以上に修正を意識した内容へと変化した。「原案のままで通過さられない」のムードの一方、厚生労働省は、「検討・配慮する」「成立しなければ今年度予算への影響は必至」と改めて成立を求める答弁を繰り返した。 雇用促進法の意見陳述も 障害者団体代表らの意見陳述を受けて、十八日の質疑では当事者の発言を引用して、不安の声を取り上げると友に、厚労省の姿勢を問う議員が相次いだ。 民主党の馬淵澄夫氏は「重度の人と軽度の人が共に支え合って生活している。区分すれば、制度管理上は楽でも改正によって偏るのではないか」と質問。これに対して尾辻秀久・厚労大臣は「現在は重度の人がいて重度単価のみで人員配置義務がなく、見直しが必要。同居の実態はあるので、ケアホーム対象者とGH対象者が混合する具体的な条件を検討したい」と答えた。 また、民主党の五島正規氏は「障害者程度区分を決定するときに当事者の意見を聴取するのか」「地域生活支援事業費は裁量的経費なのでいつ一般財源化されるか分からず不安がある。国費50%の投入を約束できるのか」と質問。それぞれ「一律に審査会で本人の話を聞くとか、障害者が委員に入らなればならないと書くことは難しい」(塩田幸雄・障害保健福祉部長)、「必要な財源確保は最重要課題として必ず取り組む」(尾辻厚労大臣)と答弁があった。 五島氏は「法案が今国会で設立しなかった時、今年度の予算執行はどうなるのか」とも質問。尾辻厚労大臣は「今年度の支援費に大きく影響することは必至。一二月までは補助金、一月からは負担金となるため、不成立の場合は十カ月分の予算の範囲内で執行する。二カ月分の約百七十億円が欠損する。去年は改正を見込んで補正予算を組んでおり、その措置も問題になる」と説明し、成立を求めた。 また、一般就労支援の強化、精神障害者への雇用率算定などがポイントで、障害者自立支援法案成立と同時に改正する障害者雇用促進法に対しては、十九日に参考人が意見陳述。「遅れたものを一歩でも前進させるもの」(高橋清久・藍野大学長)など方向性を支持する意見がある一方で、「精神障害者の雇用業務化への具体的な見直しを明らかにしてほしい」(長谷川裕子・日本労働組合総連合雇用法制対策局長)、「企業への社会的支援が必要」(土師修司・障害者雇用部会副理事長)などの注文も相次いだ。 福祉新聞 2005.5.30(月) |