●「訪問介護事業者こそ福祉介護移送の主役」

  STSセミナー

 福祉介護移送の主役は訪問介護事業―――介護移送サービスを支援するJAPAN(東京都台東区)、全国STS推進協議会(同)、あいおい損保(同中央区)は18日、同損保新宿ホールで訪問介護事業者、タクシー事業者、NPOボランティア、社会福祉法人など約300人を集めてSTSセミナーを開催、「これからのケア輸送」をテーマ研修した。

 講師は玉城博史・介護JAPAN全国統括本部長、西村責・兵庫移送サービスネットワーク会長。

 玉城氏は「今さら受益者から運賃はもらえないというのは、とんでもない勘違いだ。訪問介護事業者が介護保険で得る身体介護4020円の受益者負担は402円。4条許可後は、乗降介助1000円の受益者負担は100円。この受益者負担の差額302円を運賃として収受できる。302単位ならいろんなサービスが受けられる。受益者からお金をとらないやり方は間違っている。日常介護を行い願客は既に抱え、自家用車でサービス提供している訪問介護事業者こそ福祉介護移送の主役の座に最も近い位置にいる」と述べた。

 玉城氏はさらに「東京都の65歳以上の人口は205万人。これに対し福祉タクシーはわずか159社しかない。訪問介護事業者は2376社あるが、各社5台ずつ許可を取っても車はまったく足りない」と訪問介護事業者に4条許可取得を促した。

 西村氏は「非営利法人にとって白ナンバーの80条許可とタクシー許可の2つの選択があるが、当ネットワークはどうするか悩んだ結果、有限会社にしてあえてタクシー事業を選んだ」と披露、選択の理由として「永統的にできるのは4条・43条。80条は変わっていく可能性があり、私個人は青ナンバー化を薦める」とした。

 社会福祉法人から「80条型とタクシー型とではどちらがメリットがあるか」との質問に、玉城氏は「社会福祉法人、社協、医療法人は営利事業は行えない。43条なら定款変更でやれる可能性もあるが、現実には存在しない。別法人建てで申請するのがほとんどで、これが近道だ」とアドバイスした。

 同様のセミナーは12月に福岡で開催予定だ。

東京交通新聞 2004.11.22(月)