●市町村障害者生活支援事業 受託団体61%委託費減

  一般財源化裏目に

  障害者団体 人員・予算の確保訴える

 国庫補助事業から一般財源化されて三年目を迎える「市町村障害者生活支援事業」の事業委託費予算について、障害者団体の「当事者エンパワメントネットワーク」が四・五両月に調査したところ、委託団体の61%で予算が減り、平均すると三年間で二百三十円の減額となったことなどが明らかになった。

 調査は、○二年度から○五年度までの事業委託費予算額の変化を見るために、同事業を委託している全国の四百二十七団体を対象に行ったもの。二百七十五団体から回答があり(回収率64%)、このうち三年間に減額されたことがある団体数は百六十九(61%)に上った。

 三年連続で減額されたところが二十五団体あったか、今年度から事業廃止となったところが八団体あることも分かった。

 05年度の減額は「百万円以下」が60%に上り、それ以上の減額をされた団体は少ない。これは「毎年一割ずつ減額」されているところが一番多いためだという。一方、「四百万円以上」も減額された団体が18%あった。

 職員については「常勤職員が一人」の団体が32%、「二人」の団体が36%と全体の七割を占める。「常勤職員がいない」ところも三団体あった。また、常勤職員の中に当事者職員がいる団体は三割で、七割は一人も当事者職員がいない。ピアカウンセラーがいないところは全体の三割に当たる七十一団体があった。

 また、障害者自立支援法が成立し、施行された時に指定相談支援事業の指定を希望するかどうかも尋ねたところ、六割以上の団体が指定を希望していること分かった。三割は「分からない」と答えたが、「希望しない」のは2%だけだった。障害者ケアマネジメント実務者研修会への参加希望団体も六割ある。

 調査を終え同ネットワークは「事業委託費は大幅に減額されつつあり、地域格差も大きくなるだろう。厚生労働省『どの市町村でも整備されるべき機能なので地域の実情に応じて弾力的に事業展開できるよう地方交付税で措置する』とした経緯とはほど遠い」と考察。「事業の本来の役割を果たすには人員体制と予算の確保、人材の養成が最も重要であり、地域支援のカギとなる」としている。

福祉新聞 2005.7.4(月)