●福祉車では実態沿わず

  セダン特区申請の群馬県

 セダン特区を申請した群馬県は、県全体を5ブロック程度に分割し、運営協議会を立ち上げる計画だ。国の認定を待つのと並行し、ブロックの線引き、委員などの選定を進める。
 輸送対象とするのは、介護保険、支援費、市町村による公的サービスを受けている移動制約者。県内では現在、通院乗降介助による介護保険の請求者が月間1500人で、平均4往復している。延べ輸送で6000回の需要が発生していることになり、支援費受給者なども含めると輸送需要はさらに膨らむとみられる。

 移送サービスを実施しているのは非営利団体109、営利団体100の計209団体ある。県では今後、営利団体に4条許可取得を推進していくとともに、セダン特区認定による運営協立ち上げで非営利団体による移送サービスの合法化を急ぐ。

 セダン特区申請について群馬県では「現行の営利・非営利団体による移送サービスの供給量を維持するためのもの。通常の運営協議会立ち上げでは、福祉車両による移送となり、県内の実態を考えるとそぐわないと考え、特区申請した」(介護保険室)としている。

移動支援ネットワークちば発足

 特定非営利活動法人のNPO支援センターちば(柏市)は20日、柏市の中央公民館で「移動支援ネットワークちば」設立シンポジウムを開催した。今後、同移動支援ネットワークでは6月末に情報交換会を行うほか、県に対し各自治体の運営協立ち上げを指導するよう要望していく。

 NPO支援センターちばは、県内NPO法人の人材育成やコンサルティングを通じて活動を支援している団体。今回立ち上げた移動支援ネットワークは、福祉有償運送の運営協議会立ち上げの促進や、移送サービスを実施するNPO法人の情報交換、運転者の技能向上などが狙い。シンポジウムには85団体から約150人が参加した。

 20日のシンポでは、首都大学東京の秋山哲男教授が基調講演をしたほか、ちば運輸支局の飯塚孝廣輸送係長が4条許可と80条許可のポイントなどについて説明した。事例報告では、神奈川県や大和市など行政との連携について「かながわ福祉移動サービスネットワーク」の河崎民子代表が、流山福祉輸送セダン特区について「流山ユー・アイ・ネット」の米山孝平代表がそれぞれ講演した。

東京交通新聞 2005.5.30(月)