●改正障害者雇用促進法

  ジョブコーチ助成対象に

  労政審答申、10月から一部施行

 改正障害者雇用促進法の一部が十月から施行されるにあたり、ジョブコーチ助成金などを設ける新制度について厚生労働大臣から省令の諮問を受けた労働政策審議会障害者雇用分科会(分科会長=今野浩一郎・学習院大学教授)は十五日、「妥当」と答申した。今回の法改正で精神障害者が新たに実雇用率にカウントされることになったため、障害を把握する際にプライバシーが侵害されることのないよう、企業向けのガイドラインもまとまった。

 改正障害者雇用促進法が成立したのは六月二十九日の参議院本会議、障害者自立支援法案と抱き合わせて審議する予定で提出されたが自立支援法案の議論が混迷したのを機に別々に審議することになり、雇用促進法の改正案だけが先に成立した。本格施行は来年四月一日だが、助成金制度の見直しなど一部が今年十月一日に施行される。

 法改正の柱は@精神障害者を雇用率の算定対象に加えるA在宅就業者への支援を盛り込むB雇用と福祉をつなぐ施策を設けること。いずれも助成金制度の見直しを伴うもので、今改正は、助成金の支出先にバリエーションを増やしたかっこうだ。

 具体的には、ジョブコーチによる援助や在宅勤務コーディネーターが新たに助成金支給の対象となる。また、在宅で就業する障害者に仕事を発注した企業には報奨金が支給される。社会福祉法人などの在宅就業支援団体を介して企業が仕事を発注した場合も、この報奨金は支給される。

 さらに、視覚障害者などに付く職場介助者についてはこれまで十年間までだったが継続的な配置を認めることにし、手話通訳担当者の委託にかかる助成金額も引き上げられる。

 助成金制度は、法定雇用率(常用労働者に占める障害者の割合。1・8%)を達成できなかった企業が不足数一人につき月額五万円を納付。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構がこれをプールし、雇用率を達成した企業へ報奨金や助成金を支給する仕組み。障害者を積極的に雇用した企業ほど経済的な負担をかぶるため、雇用促進の動機付けになるよう運用されている。

 今回の会合では、これらの助成金制度を見直すことを今月下旬に公布するため省令案を諮問され、「妥当」と答申することが決まった。一方、この法律が身体障害者と知的障害者のみを対象としてきたことから、精神障害者も対象にするかどうかが積年の課題となっていたが、来年四月からは精神障害者も雇用率にカウントされることになる。

 ただ、雇用促進に期待が寄せられる反面、企業が自社の実雇用率を上げたいがために在職中の人に精神保健福祉手帳の取得を勧めるなどのトラブルが起こり得るとの心配がある。国会審議では障害を確認する際はプライバシーに十分配慮するよう衆・参両院ともに付帯決議が行われていた。

 今回まとまったガイドラインは、障害の種別に関係なく共通の手法として企業に広めようというもの。障害者手帳の有効期限や障害程度の変化など情報更新をする頻度は必要最小限にとどめることや、障害を持ったことの申告を呼びかける際はチラシなどで労働者全員に画一的な手段で行うなどを注意している。

福祉新聞 2005.9.26(月)