●障害者差別、条例で禁止

 被害者の相談24時間対応へ−千葉県、全国で初

 千葉県の堂本暁子知事は障害者差別を禁止する全国初の条例を制定する意向を固めた。10月には「中核地域生活支援センター」を新設し24時間体勢で相談を受けて権利侵害を救済する体勢を整える。障害者や家族も交えて1年間協議したうえで、県議会に条例案を提案する見通しだ。

 罰則などは設けない方向だが、実効性を坦保するのが、「支援センターでの相談受け付け。民間に委託する形で県内14ヵ所に設ける。

 1ヵ所に数人が配置され、福祉サービス利用や権利侵害について、障害者からの相談を電話などで24時間受け付けるトラブルの現場に出かけて解決にあたるという。

 条例制度の背景には、後を絶たない差別事例がある。同県や障害者団体は、知的障害者がスイミングクラブの会員になろうとして断られたり、ホテル利用を拒否されたりした例を把握している。堂本知事は「条例のほか、入所施設から知的障害者を地域に戻す施策も考えている」と話している。

障害者への差別を禁止する法律は世界40カ国以上が整備している。日本では全国会で前国会障害者基本法が改正され、差別禁止条項が盛り込まれたが、「理念法であり実交性に限界がある」との批判がある国連は01年、日本に「障害者に関するあらゆる差別を禁止する法律を制度する」勧告。障害者団体などは差別禁止法制定を求めている。

「禁止法」へ道

 日本障害者協議会の藤井克徳常務理事の話−障害者差別禁止法への道を開くものとして画期的だ。罰則や具体的な救済・監視規定などの議論を見守りたい。

進め方に注目

 厚生労働省の塩田幸雄障害保健福祉部長の話−今後も差別禁止法について検討したいが、他の法律との整合性など難しい点がある。千葉の進め方に期待し注目している。

朝日新聞 2004.7.8(木)