●介護保険、87%が「評価」 

 スタートして5年目の介護保険と、2年目の障害者支援費制度で、知事や市区町村長の評価は大きく分かれた。

 介護保険を評価できるとしたのは87%と高い。理由を見ると、「高齢者介護を社会全体で支える意識が広がった」が39%と最も多く、「介護家族の負担が減った」が3割近くを占めていて、制度が定着している様子がうかがわれる。

 評価できない理由では、「給付費が増え、財政面での不安がある」が半数近くに達し、「高齢者の保険料や自己負担が重すぎる」も16%と、経済的な理由が多かった。

 一方、支援費制度は54%が評価するとしたものの、評価しないも44%合った。評価する理由は、「障害者自身が事業者を選べるようになった」(45%)、「サービスを利用できる人の数が増えた。」(27%)など、障害者本位の制度になったことやサービスが拡大したことを挙げる首長が多かった。

 評価しない理由としては、「利用は増えたが国の補助金不足など財政的に不安」が46%と最も多い。03年度に国の在宅サービス向け補助金が128億円も不足した財政問題が大きく影響しているとみられる。

「サービス支給の決定の基準が不明確」(23%)、「ケアマネジメントの制度がない」(15%)など制度の不備への不満も多い。

首長アンケートの質問と回答(1つのみ掲載)

・現在40歳以上となっている被保険者の範囲を広げ、障害者福祉と介護保険を一緒にして、若い人でも高齢者と同じように障害や病気で介護が必要になった場合に、介護保険のサービスが利用できるようにすることが検討されています。この改革に賛成ですか、反対ですか

  • 賛成  40%
  • 反対  48%
  • その他 12%

賛成の理由を1つ選択

介護保険財政が安定する 9%
高齢者の保険料の上昇が抑えられる 7%
高齢者や障害者の介護の必要性は年齢や原因で区別できない 53%
障害者福祉の財政が安定する 6%
難病や精神障害者も含めた障害者福祉サービスが向上する 7%
統合で効率的なサービスができる 16%
その他・無回答 2%

反対の理由を一つ選択

負担増になる若い世代や企業の理解が得られない 25%
給付対象の拡大で利用が増え、介護保険財政を圧迫する 11%
障害者福祉は税金でまかなうべき 12%
障害者から保険料や自己負担を求めるのは難しい 9%
障害者と高齢者では必要なサービスの量や内容が違う 40%
その他・無回答 3%

朝日新聞 2004.7.26(月)