●介護職員基礎研修 実習増やし500時間に拡充

  06年度後半から開始

  配置基準・報酬への反映も検討 厚労省研究会

 厚生労働省は九月二十六日、実習を増やすなどによりホームヘルパー(以下、ヘルパー)研修を五百時間に拡充した「介護職員基礎研修」(以下、基礎研修)の概要を明らかにした。二〇〇六年度後半から開始し、現行のヘルパー研修は一定期間を経て廃止する。修了者を介護報酬や人員配置基準に位置づけることを検討し、介護職員の質の底上げを図る。

「ヘルパー」は段階的廃止へ

 施設・在宅を問わず、介護福祉士資格を持たないで働く介護職員を受講対象とした基礎研修は、「介護サービス従事者の研修体系のあり方に関する研究会」(座長=堀田力・さわやか福祉財団理事長)が昨秋提案したもの。それ以降、研修内容・時間などの検討を進め、同日、「第二次中間まとめ」を発表した。

 それによると、基礎研修は講義(三百六十時間)と実習(百四十時間)の計五百時間で、実習は現行のヘルパー研修(一級は八十四時間、二級は三十時間)に比べて拡充した。講義は十科目で、演習と一体的に行う。一部科目の受講には通信制(百二十時間程度)を認めるなど、仕事をしながら学ぶ人にも配慮した。

 一年以上の実務経験者には実習を免除する。そのうちヘルパーに旧を持つ人は百五十時間、一級の人は六十時間の受講で修了とみなすなど、経験や研修受講歴を一定程度評価する。

 また、修了者が介護福祉士を受験する際の資格要件の緩和(具体的な緩和内容は未定)することにより、基礎研修の受講を促す。

 現行のヘルパー研修は段階的に基礎研修に移行した後に廃止する方針。ただ、ヘルパー研修が家族介護者やボランティアの養成において果たしてきた役割を評価し、こうした人を対象としたカリキュラムを基礎研修とは別に設けることも検討課題としている。

 基礎研修は現行のヘルパー研修実施機関や介護福祉士養成校などのうち、厚労省が今後明らかにするガイドラインに基づいて認定された機関が実施する。

 また、第二次中間まとめは、介護福祉士取得後の研修体系について、二段階に分けて提案している。

 介護福祉士を取得後二〜三年程度の実務経験者を対象とした二百時間の「ファーストステップ研修」は、小規模チームの班長、初任者の指導係として任用されるレベルの職員養成を目指す。演習を主体とした講義を月に二日間程度、一年間通って、受講するものだが、百時間程度は通信による受講を可能にする。

 それに続く「セカンドステップ研修」は希望するキャリアコース別の研修とし、@施設・事業所の管理者を目指す「組織志向」Aスーパーバイザーを目指す「教育志向」B専門性を究める「熟練志向」――のカリキュラムを用意するが、厳密に分けずに互換性を持たせる。

 厚労省はこれらの研修体系を介護保険の人員配置基準・介護報酬上の評価と結びつけることを検討する。当面は基礎研修修了者を介護職員の基礎的な任用資格とし、将来的には介護福祉士を標準任用資格とする。

 基礎研修とファーストステップ研修は〇六年度中に開始するため、今年度中にそれぞれの研修のガイドラインを作成する。

福祉新聞 2005.10.3(月)