●首長の48%が反対 介護保険・障害者福祉の統合案

 本社調査「サービス違う」

 05年の介護保険制度見直しで、保険料を払う被保険者の範囲を現在の40歳以上から引き下げ、障害者福祉と統合する案について首長の48%が反対していることが、朝日新聞社の全国首長アンケートでわかった。賛成は40%、その他は12%。厚生労働省は9月にも統合を軸にした試案を示し、来年の通常国会に改正法案を提出する方針。しかし、調査結果は介護保険と障害者福祉を運営する市区町村の理解が十分得られていない状況を示しており、統合問題は難航も予定される。

 調査は、6月中旬に47都道府県知事と3123市町村長に質問用紙を郵送。2885の首長から回答率は91%。

 統合案は、支え手を増やして、サービス給付費が急増している介護保険と財源不足が深刻化している障害者支援費制度などの財政を安定させるのが狙い。被保険者範囲の拡大に伴って若い障害者や難病、終末期のがん患者なども介護保険を利用できるようにする。対象年齢の引き下げと統合は表裏一体の関係だ。

 調査によると、統合案の反対の理由で最も多かったのが「障害者と高齢者では必要なサービスの量や内容が違う」(40%)。「障害者福祉は税金でまかなうべきだ」も12%あり、対象や性格が異なる二つの制度を一緒にするのは難しいとの見方が半数に達した。

 このほか、「負担増になる若い世代や企業の理解が得られない」が25%、「給付対象の拡大で利用が増え、介護保険財政を圧追する」が11%だった。

 賛成の理由は「高齢者や障害者の介護の必要性は年齢や原因で区別できない」が53%で、「統合で効率的なサービスができる」が16%。財政的な効果を期待する「介護保険財政が安定する」(9%)、「高齢者の保険料の上昇が抑えられる。」(7%)、「障害者福祉の財政が安定する」(6%)も合わせて2割あった。

 統合案をめぐっては、主要な障害者団体でも意見が割れ、日本経団連は従業員の介護保険料の半分を出している企業の負担増になることから反対している。

 調査結果について、厚労省の中村秀一老健局長は「反対では、サービスの量や内容が違うという理由が多い。高齢者と障害者の介護の必要性について、国民的な議論を尽くせば解決できるのではないか」と話している。

朝日新聞 2004.7.26(月)