●既存タクとすみ分けを
補完的機能で共存共栄
NPOボランティア輸送についての意見は、サービス内容の相異、運賃、既存事業者との関係、安全確保など多岐にわたっている。主なものは次の通り。
@利用者の移送サービスに加えて、例えば病院の玄関から受け付け、待ち時間のケア、医療手続きのアドバイスなど福祉サービスの提供を行える点で、緑ナンバーの輸送業者にNPO等の団体が相談等を持ちかけたいと考える場合が想定されるので、今後両者の連携の仕組み作りが進められることを期待する。(東海市)
A障害等により日常生活に支障ある者にとり地域に根ざした活動をするNPOボランティア輸送については、利用者にとっては必要なものと思われるが、人を運ぶことに対する責任等については不安定な要素がある。(大口町)
B対象者は限定されるという条件付きで必要不可欠な輸送と受け止めている。正規に事業許可を得たタクシー事業と上手に共存を図りつつ、総体として住民の移動手段の充実が図られればよい(半田市)
C公共交通のない地域では有効な手段だと思うが、当町としてはコミュニティーバスと乗合タクシーを運行しているため、NPOボランティアによる高齢者などの輸送はないものと考えている。(三好町)
Dタクシーを利用したくても利用できない低所得者層に対しては、料金次第では有効な移動手段になり得る。安価な料金で利用が可能であり外出の機会が増えると考える(知立市)
ENPOの有償運送認可はタクシー業界の反発もあると聞いているが、福祉タクシーは高齢者や障害者を対象として事業だけなので競合が心配される。NPOは必要なら自宅のベッドから外出先のベッドまで運び、付き添い介助もするのでタクシーとはニーズが異なる。当該地域の輸送の現状に照らして、タクシー等の公共交通機関によっては移動制約者等に係る十分なサービスが確保できない場合と、過疎地有償運送については当該公共団体にタクシー事業者の営業所が存しないこと、実質的に旅客運送事業者の運行により住民の輸送が確保されない地域が設定されると思われ、よって地域にタクシー事業者が存し通常のタクシー業務が可能であれば、福祉タクシーが優先されると考える。(東栄町)
Fタクシー全体の確保等が適切になされるという条件のもとであれば、市が提供する移送サービスや公共交通機関ではニーズを満たせない部分を補うものとして、存在意義があると考える。国交省が示したガイドラインに沿って運営協議会の設置に向けた検討がなされている。バス・タクシー等の旅客を生業とする業界の領域を侵害することのない範囲で行われるよう配慮しながら進めていきたい(知多市)
G利用者の利便性向上と経済的負担軽減のためには、非営利事業者の参入も必要だが、運用は、利用者の安全を守るためにも、法令等にのっとり適性・厳正にされねばらなず、運営協議会等による管理・監視体制を整備することが必要。無制限な利用でなく福祉目的に限るなど企業との共存を図ることや交通資源の発展に努めてほしい。
東京交通新聞 2005.7.25(月)
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