●雇用促進法改正案、衆院通過

  精神障害者の義務化など付帯決議

 精神障害者を雇用率にカウントすることや在宅就業を支援することが盛り込まれた障害者雇用促進法改正案が十日、一部修正の上、与野党の全会一致で衆議院本会議を通過し、参議院へ送付された。

 現行では身体・知的障害者だけを対象に一定規模の民間企業の決定雇用率(1・8%)達成度などを算出しているが、改正されれば精神障害者の人数も算定対象に加わる。

 実雇用率は従業員の人数に占める障害者雇用の割合を示し、いわば障害者雇用の浸透度を現すバロメーターだ。ただ、身体・知的障害者の雇用が義務なのに対し、今改正でも精神障害者は義務化に至っていない。

そこで九日の衆院厚生労働委員会では「二〇〇九年度末までに結果が得られるよう法改正後の見直しを行い、精神障害者も雇用義務の対象にすることを検討する」と付帯決議された。また、法定雇用率の達成を指導するあまり、精神障害者に手帳の取得を強要したり制度適用を強行しないよう、厳正な適用を行うことも決議された。

 一方、今改正では、納付金や助成金の使い方にも新しい仕組みが盛り込まれる。中でもITを活用し重度障害者が在宅で働く例など先駆的な実践が民間から報告されたことを受けて、在宅就業支援が創設される。在宅で働く障害者に仕事を発注した企業に特例調整金を出す仕組みで法定雇用率未達成の場合に払う納付金から調整金分を差し引くこともできる。

 障害者と発注元とのコーディネート役「在宅就業支援団体」は、組織的に就業機会を提供し就業講習や情報提供をする法人として厚労大臣の登録を受けるが、労働法違反、暴力団員の関与などで登録を取り消された法人は、五年は再登録できない。当初は二年としていたが、より厳しい要件に修正した。

 また、職場適応援助者への助成金の新設に際しては、民間で障害者雇用の経験がある人材を活用することや、企業名や実雇用率を公表することを前提に指導を強化することなどが付帯決議された。

 なお、福祉施策と雇用施策の連携強化はグランドデザインの目玉で、障害者自立支援法案と雇用促進法改正案を同時期に成立させることに相乗効果のねらいがある。

福祉新聞 2005.6.20(月)