●障害者ら白ナンバーで選ぶ 福祉有償運送

  許可審議する協議会ゼロ 県内関係者「早く設置を」

 特定非営利活動法人(NPO法人)や社会福祉協議会などの非営利事業者が高齢者や障害者を輸送する「福祉有償運送」などについて、県が昨年三月に白ナンバーでも条件付きで輸送できるように取り扱い方針を出してからまもなく一年となるが、県内では二日現在、約二百法人のうち、青森運輸支局から許可を得た事業者はゼロだ。法人が運輸支局に許可申請する上で欠かせない「運営協議会」を設置した自治体が県内にまだないためで、関係者は「市町村は早急に設置を」と訴えている。

 福祉有償運送は、タクシーの約半分程度の料金で輸送するサービス。白タク行為を禁じた道路運送法第八十条に抵触するとの批判もあったが、公共交通のすき間を埋めるニーズがあり、現状は黙認されている。国は昨年三月に方針をまとめ、自治体の設置する「運営協議会」の審議などを経て運輸支局の許可を得れば可能−とした。

 運営協議会は、県か市町村などが設置することになっている。本県では「エリアは市町村にする」と県が決めて市町村に伝えたのが昨年十一月。県内では八戸市は七戸町が年度内に設置予定だが、県新幹線・交通政策課によると二日現在、県内で設置した市町村はない。担当部署が交通、福祉など複数にまたがるため、県は市町村に窓口の明確化を求めているが、窓口を決めたのは十三市町村にとどまる。

 国土交通省自動車交通局旅客課によると、昨年九月末時点の調査では、全国で運営協議会を設置した自治体、地域などは計三十三カ所と、他県でも設置は進んでいない。

 津軽地方のある法人は「市から『年度途中のため、すぐには協議会を設置できない』と言われた。罰則適用までは経過期間があると聞くが、いつになるのか心配」、別の法人は「許可申請の準備は整っているが、まだ申請できない」と語る。

 県内の移送サービス団体で構成する県移送サービスネットワークの越谷秀昭理事長は「スムーズに申請できるよう、指針解釈の学習会や運転講習会など、自分たちでできる準備は進めてきた。市町村には、窓口の明確化と協議会の設置を早急に進めてほしい。」と話している。

東奥日報 2005.2.3(木)
(情報提供:青森県移送サービスネットワーク)