●福祉有償運送運営協

  長野は全県ベースで

 都道府県主導の福祉有償運送運営協議会の設置が進展している。岡山、神奈川に次ぎ長野で6月に全県ベースの運営協が設置されるほか、埼玉、東京、福岡などでは市区町村に設置を促している。国土交通省の有償運送ガイドラインの道運法80条許可取得の期限が来年3月末まで約1年となったが、ここにきて都道府県が広域エリアの運営協設置に動き出したことで、運営協設置に弾みがつきそうだ。

 ガイドラインでは運営協の主宰は市町村だが、交通対策部局のない市町村では運営協の設置が進んでいない。このため県が音頭を取り県内全市町村に運営協の設置を促す「全県ベース」の設置の動きが出ている。全県ベース運営協は岡山県が先駆け(岡山方式)。これに神奈川が続き、05年度に長野県が乗り出す。

 長野県の田中康夫知事は昨年末の県議会で、「運営協の設置を県が主体的にすすめる」と表明。今月初旬、県が長野・松本両市で自治体向けに運営協設置セミナーを開催、県の設置方針を明らかにした。

 それによると、県内113市町村を10地区に分け、10地方事務所ごとに運営協を設置する。4月中旬に設置要綱を制定、6月中旬に立ち上げ、10月と来年2月に開催する。06年度も6月、10月、来年2月の3回開催、制度が定着する2年目から順次、市町村に運営の主宰を移行させる。

 10地区と地区ごとの移送サービス実施団体数は@佐久8団体A上小11団体B諏訪7団体C上伊那20団体D下伊那18団体E木曽11団体F松本25団体G北安7団体H長野35団体I北信9団体−となっている。

 全県ベースとまではいかないが、市町村に設置を積極的に促している都道府県もある。東京都では「都が区に設置を強制できないが、昨年7月に各区にガイドラインを説明し、区との関係課長会議などで設置に理解を求めている。話があれば区と市をまたぐ広域エリアで設置することなども考えたい」としている。

 80条許可取得の猶予期間が切れた場合、全国のNPOボランティアの有償運送が違法行為として摘発される可能性がある。80条許可を取得するには、運営協の設置と同許可申請の承認が必要。全国自治体は猶予期間が切れる1年後に混乱が起きないよう運営協設置検討を始めている。

東京交通新聞 2005.2.14(月)