●練馬福祉協−運賃2分の1ルール初判断

  セダン2キロ810円 ストレッチャー500円加算

 東京都練馬区は12日開かれた福祉有償運送運営協議会・幹事長(座長・吉本卓裕保健福祉部管理課長)で有償運送サービスに適用されている「タクシー運賃の2分の1ルール」について独自解釈により目安料金を策定した。迎車料金と予約料金等を加えた予約型のタクシー運賃の半額を試算したもので、セダン型車いす対応車は2キロで810円、5キロで1290円、ストレッチャーはプラス500円となる。同ルールにより具体的な目安料金をはじいたのは全国で初めてで、「2分の1ルール」の解釈に悩む各地の運営協の論議に影響を与えそうだ。

 有償運送の料金は、国土交通省ガイドラインでは「タクシーの上限運賃の概(おおむ)ね2分の1以下を目安に地域特性等を勘案して判断する」と、幅のある表現になっており、実際、2分の1を超えていたり、判断に迷うケースが多い。練馬区運営協では「『概ね2分の1』かどうかをどう判断すればよいか、はっきりさせるべき」との意見が出、12日の幹事会で区が試案を提示し了承された。

 試案によると概ね2分の1判断では、予約型のタクシーの実車想定運賃を基に、迎車料金660円、予約料金400円、ストレッチャー料金1000円をプラスした運賃を先ず弾き出し、その2分の1を有償運送料金と明示した。タクシー運賃は予約と迎車で来車時点で1060円からスタート、2キロでは1620円。セダン型有償運送料金はこの半額の810円となる。ストレッチャーは1620円より1000円増額とし2620円、この有償運送料金は1310円となる。

 想定運賃には実走記録などを参考に便宜上、4キロ以上から2キロごとに80円の加算を設定。ストレッチャー料金は、予約・迎車料なしの会社がある一方、使用料2000円や介助料1回5250円かかる会社、ハイヤー運賃(1時間8970円)適用の会社など各様ある中、同区の福祉タクシー補助制度でストレッチャーをセダンの1000円加算で設定していることから、同様に一律1000円加算した。

NPOの有償運送料金がタクシー運賃の2分の1を上回る点への対応では、全ケースで「概ね2分の1以下である必要はなく、NPOの運行実績から総合的に運賃大系を判断するとし、一定期間、NPOが運行した実績からタクシーの想定料金表で換算し、総額を比較し、「概ね2分の1」以下であればよい、とした。NPOが「出庫・帰庫」距離で運賃設定している場合は、「乗車〜降車」距離の記録を取り、相応するタクシー運賃と比較する、とした。

 NPOの実績を把握する「一定期間」については、「明確にすべき」との意見が出、「80条許可申請前の一カ月間に区切る」ことで了承された。

 練馬区が全国の運営協の先陣を切って「2分の1ルール」の判断を明確化したことで、判断内容が他地区の運営協の目安ともなりそうだ。同区はこのルール判断以外にも「80条許可後のフォロー体制」、2種免許に替わる「移動サービス研修」について全国に先駆けて独自に方針決定している。

東京交通新聞 2005.7.18(月)