●福祉配車センター検討

  タクにも協力求める 移動困難者ニーズ充足へ

 東京都世田谷区はタクシーとNPOが協力した福祉配車センターの検討を始めた。区内3万人にのぼる移動困難者のニーズに十分にこたえきれていないと判断、検討会を発足させ配車の仕組み作りに向けた調査に入った。NPOとタクシー会社にヒアリングし青写真を描く。2006年度と2007年度の2カ年計画で実証実験した上で実用化を目指す。自治体主導の配車センターは札幌市と枚方市で具体化しており、東京では初めてとなる。

 世田谷区によると、区内には身障者手帳と愛の手帳所持者が約20000人、要介護認定者が約2万5000人おり、移動困難者は30000人程度(人口比率3・7%)と推計している。これに対し、リフト付きタクシー登録者は約1400人、福祉タクシー券交付人数は約8000人、NPO等の移送サービス利用登録者数は約1100人と、約10000人強にとどまっている。

 先の区議会で市民団体関係議員から問題提起があり、区側は前向きな対応を答弁し、今回の配車センター検討につながった。区では保健福祉部と在宅サービス部などが中心になり、配車の仕組み作りのための検討会を設置、青写真作りを始めた。

 配車センターの具体的な内容は今後、タクシー会社やNPOなどにヒアリングし固める。センターの役割として@申し込み先の一元化A各NPO等が持っている個々の利用者情報、配車マネジメント情報の一本化B配車コーディネート(予約制)Cタクシーを参入させたDRT(デマンド・レスポンシブ・トランスポート=需要対応型公共交通)の手法検討を含めた仕組みのルール作りD人材育成――などがあがっている。同区では札幌の事例なども研究、多角的に検討している。

 黒田明敏・世田谷区保健福祉部保健福祉活動推進課長の話−移動困難者3000人という膨大なニーズにこたえていくには、NPOだけが頑張っていても供給には限界がある。民間のタクシー会社にも協力を仰ぎ、配車の仕組みを作っていきたい。

東京交通新聞 2005.8.1(月)