●学生無年金訴訟、東京地裁

  国の不支給処分取り消し

  精神障害「初診日」解釈に幅

 学生無年金訴訟で東京地裁は十月二十七日、成人学生の国民年金加入が任意だった時代に未加入のまま統合失調症にかかり、障害基礎年金の支給を拒否された東京都内の男性二人に対し、二十歳前の発症を認め、障害年金不支給決定の行政処分を取り消す判決を下した。

 訴えていたのは都内在住の三十七歳と四十五歳の男性。いずれも大学在学中に統合失調症を発症したが、二十歳前に発症したことを証明できず障害年金が不支給とされたため、処分の取り消しと一人二千万円の損害賠償を求めていた。

 判決で大門匡裁判長は「医師の事後的な診断などから医学的に見て、各原告が二十歳前に発症したと認定した。医師の診療が必要になった時点が二十歳前と認められれば、『初診日』要件を満たすと解するのが相当」などとし、不支給処分を取り消した。また、損害賠償請求については「処分取り消しで理由がなくなった」とし棄却した。

 判決に対し、学生無年金障害者訴訟(東京)弁護団、東京・無年金障害者をなくす会は同日、「初診日の要件として医師の診療を受けることまで要しないことを認め、初診日を形式的に解釈することで生じる問題を解決したものとして高く評価できる」とする声明を発表。国に対し控訴を取りやめるよう求めている。

 判決が確定すれば、「初診日=医師の診断を受けた日」という原則が見直される。二十歳前の発症時に医師の診療を受けていなくても、診療が必要な状態であったことを医学的に証明すれば、初診日が二十歳以降であっても障害年金の至急が認められることになり、精神障害者の障害年金申請の条件が改善される。

福祉新聞 2005.11.7(月)