●第19回焦点−グランドデザイン

厚生労働省障害者保健福祉部

企画課課長補佐 土肥 克己

給付の手続き・基準(2)

 今回は、障害者自立支援法案に基づくサービス給付の手続きについて紹介します。

 介護給付などのサービスを利用しようとする障害者等は、市町村に対して障害程度区分の認定と支給決定についての申請を行います。申請のあった市町村は障害者等に対し、障害者程度区分の認定調査を実施しますが、この調査に当たるのは市町村職員のほか、市町村から委託を受けた指定相談支援事業者も可能となります。

 調査の結果はコンピューターで判定が行われ(一次判定)、さらに、介護サービスの利用を希望する障害者等については、一次判定結果と主治医の意見書類等関係書類に基づき市町村審査会において判定が行われ(二次判定)、その結果が市町村に伝えられます。これらのきめ細かな手続きによって、利用者一人ひとりに客観的な障害程度区分が認定されることとなるのです。

 なお、市町村審査会は、障害者の保健・福祉に関する学識経験者のうちから市町村長が任命する複数の委員による合議体で、市町村が単独で設置するほか、複数市町村による共同設置、もくしは市町村から委託を受けた都道府県においても設置することができます。

 サービス給付の種類や量に関しては、障害者等の利用の意向を市町村が聴取することになりますが、事務の効率化を図るため、障害程度区分の認定調査と併せて実施することができます。このサービス利用意向の聴取についても障害程度区分の認定調査と同様に、市町村は、指定相談支援事業者に委託することが可能です。その後、市町村は障害程度区分、サ−ビスの利用意向、日中活動の状況、家族の介護力などを勘案し、市町村があらかじめ決める支給基準を踏まえて、支給決定を行います。

 なお、障害者自立支援法案では支給決定に関して、市町村が必要があると認める時には、市町村審査会及び身体障害者更生相談所等に意見を聴くことができるとされています。具体的には、市町村の作成する支給決定案が支給基準と著しくかい離する場合のなどに、客観性、公平性などの観点から市町村審査会の意見を踏まえて支給決定することや、療養介護や生活介護の支給決定案など利用に関して広域的な調査や専門的な判断が必要となる場合などに、身体障害者更生相談所等の意見を踏まえて支給決定することが想定されます。

 市町村から支給決定を受けた障害者等は、障害程度区分の認定及び支給決定案について不服がある場合には、支給決定を行った市町村ではなく、都道府県に対して審査請求することができることができることとなっています。

福祉新聞 2005.6.20(月)