●第22回焦点−グランドデザイン

  厚生労働省障害保健福祉部

  企画課課長補佐 土肥克己

都道府県知事の指定制度に

 今回は、障害福祉サービス事業者の指定について説明します。
 支援費制度の居宅生活支援費及び施設訓練等支援費については、一定の基準を満たし適切なサービスを提供することができるものとして、都道府県知事の指定を受けた事業者からサービスを受けた場合に支給されることとなっています。現行の精神障害者の福祉サービスには、事業者の指定制度はありません。

 新制度では、サービスの質を確保する観点から、支援費制度と同様に都道府県知事の指定制度を導入します。介護給付、訓練等給付及びサービス利用計画費の支給については、指定障害者福祉サービス事業者、指定障害者支援施設及び指定相談支援事業者からサービスを受けた場合に行うほか、新たに、悪質な事業者を制度から排除する仕組みとして指定の欠格事項や更新制度を設けます。

 具体的には、都道府県知事は、障害福祉サービス事業者等から指定の申請を受けた場合、申請者について、厚生労働省令で定める基準を満たし適正な事業運営が可能であること、一定の欠格事項に該当していないことなど基準を満たしていることを確認し、指定します。

 ただし、障害福祉サービス等の提供基盤を計画的に整備し各サービスの供給量の調整を適切に行うため、指定のサービスについては、都道府県障害福祉計画に定める障害福祉サービスの必要量を上回るなど、計画の達成に支障が生ずると認められる時には指定しないことができます。

 この指定は、指定事業者等が介護給付などの支給にかかるサービスを提供する事業者としてふさわしいものであることを担保するため、有効期間を六年間とする更新制度を新たに設けています。また、都道府県知事は、この指定権限に付随して、必要に応じて指定事業者等に報告を求めることや基準を遵守すべき旨を勧告することができ、さらに指定を取り消すこともできます。

 一方、指定障害福祉サービス事業者等には、適切なサービスが提供されるよういくつかの義務が課されます。

 まず、指定事業者及び施設には、障害者等の人格を尊重するとともに、法令を遵守して障害者などのため忠実に職務を遂行しなければならない義務が課され、これらに違反した場合には、都道府県知事は指定を取り消すことができます。また、障害者がその能力や適正に応じて自立した生活を営むことができるよう、関係機関などと連携を図りつつ障害者の意向や障害の特性に応じた効果的な支援を行うことや、サービスの質の向上に努めることが努力義務として課されます。

福祉新聞 2005.7.11(月)