●第23回焦点-グランドデザイン

  厚生労働省障害保健福祉部

  企画課課長補佐 土肥 克己

 今回は「補装具と日常生活用具」について紹介します。

「補装具」とは、身体障害者(児)の損なわれた身体機能を補完するために必要な義肢、装具、車いすなどの用具を言い、市町村が交付(修理)しています。

「日常生活用具」とは、身体障害者、重度障害児(者)の日常生活上の便宜を図るために必要な特殊寝台、入浴補助用具などの用具を言い、市町村が給付(貸与)しています。

 いずれも、障害者が日常生活や地域生活を営む上で欠かすことができない大変重要な用具となっています。

 今回の改革においては、補装具と日常生活用具のそれぞれの定義を今日的視点から明確化するとともに、その定義に基づき給付種目の見直しを行うこととしています。

 その上で、「補装具」については、自立支援給付の中の「補装具費」として位置づけ、これまで市町村から現物で給付されていた補装具を、障害者が事業者(補装具製作業者)との対等な関係に基づく補装具の購入とし、その要した費用を公費負担することとなります。これにより、デザインや型式など障害者の多様なニーズに対応した補装具の給付が可能となります。

 なお、補装具は障害者の身体に適合していることが極めて重要となりますので、補装具費の支給となっても、これまでと同様に、身体障害者更生相談所などの専門機関の判定を受けるなどといった手続きは、引き続き実施されることとなります。

 また、利用者負担については、これまでの利用者の所得に応じて負担額を決める仕組みから、かかった補装具費の一割を定率で負担して頂く仕組みになります。この利用者負担額は、一割負担を原則としつつも、家計に与える影響などを勘案し負担上限を設け負担能力が乏しい人には低い負担上限額となるように配慮することとしています。

 一方、「日常生活用具」については、第16回でも若干触れましたが、「地域生活支援事業」の一事業として、各自治体が地域の実情に応じて給付種目の具体的商品名や利用者負担額を決定するなど、弾力的な運用を可能として事業形態となります。

 どちらの制度においても、日々技術の進歩に伴い様々な用具が開発される福祉用具の中にあって、障害者の自立支援のために真に役立つ用具を適正な価格で提供できる体制づくりを目指しています。

福祉新聞 2005.7.18(月)