●障害者虐待防止法案

  秋の臨時国会に提出へ

 障害者虐待防止法案が議員立法で秋の臨時国会にも提出される見通しがこのほど明らかになった。法案要綱は今国会中にまとめられる。六月二十五日に千葉市内で開かれた全日本手をつなぐ育成会主催の権利擁護セミナー「やっぱり必要!障害者虐待防止法」(約百三十人が参加)に、シンポジストとして登場した公明党衆議院議員福島豊氏、民主党衆議院議員の中根康浩氏が意気込みを語った。

 福島氏は「施設内での虐待は相当拡がっており、顕在化を図る必要がある。法の制定により予防、早期発見、通報者保護が前進する」と発言。中根氏は「自民、公明の各党がそれぞれ法案要綱を作ることになっており、あと半年以内に成立する可能性が高い」と話した。

 シンポジウムでは国会が昨年まとめたガイドライン「障害者虐待防止法の制定に向けて(第一次法案)」をもとに、「しつけ」と「虐待」をどこで線引きするか、虐待発見者からの通報を受けて立ち入り調査する「障害者虐待防止センター(仮称)」をどこに設置するかなどが話し合われた。

 また、児童虐待の問題に詳しい弁護士の平湯真人氏は「施設職員に通報義務を課すのではなく、通報した人が不利益を被らないようにすることが肝要」と指摘。知的障害者への虐待問題にかかわる弁護士の大石剛一郎氏は「虐待から救出した後のシェルター(一時保護の場)が必要不可欠だ」などと主張した。

 なお、厚生労働省は五月末までに五回開いた「障害者虐待防止についての勉強会」での意見をまとめており、今年度中に障害者虐待の実態調査をする方針だ。

福祉新聞 2005.7.11(月)