●障害者が働く場の確立を

  全国社会就労センター協議会

  会長 星野 泰啓

 かつて、社会福祉基礎構造改革の検討から、支援費制度がスタートするまでの議論において、私たち全国社会就労センター協議会(以下、セルプ協)は「その理念の実現に向けての施設・サービス体系の本格的見直しを行うべき」と強く主張し続けた。

 そして現在、国において進められている障害者自立支援法による制度改革の見直しの柱の一つに、遅まきながら、その事業・サービスの再編が挙げられている。

 事業・サービスの再編は「地域生活への移行に資する機能を強化するための事業の実施」「サービス体系を機能に着目して再編し、効率的にサービスが提供できる体系の確立」といった視点で行われている。

 そしてさらに、@障害者の福祉サービスを「一元化」(三障害統合)するA日中活動事業と住まいの場事業を分け、入所施設での昼・夜サービスを選択(職住分離)できるようにするB複数の事業を組み合わせて実施する多機能型サービスを提供する――などの方向性が示されている。セルプ協は一九七七年に授産事業に関わる各種団体の大同団結により生まれた。発足時(当時、全国授産施設協議会)から、障害種別を越えて、障害のある方々の働く場をつくり上げ、授産制度を時代に即したものに変えていくことを掲げてきた。

 その後の歴史は、まさに時代の変化に合わせた制度改革の議論と提言の積み重ねであった。一九八八年の「人間復権の場を目指して〜福祉作業体系方策への提言」において、@授産施設の目的・機能の明確化A三障害の統合化B職住分離の方向性C利用者の権利保障から労働法規の適用の検討――といった方向性を明確に示したのを皮切りに、その後も提言の実現を図るための再確認を重ね、のニーズに沿った機能の効果を目指した小規模複合化施設体系のあり方に言及してきた。

 すなわち、障害者自立支援法における事業・サービスの再編で示されている主な視点については、セルプ協発足時(約三十年前)から積み重ねてきたものである。そしてそれは外から言われたものでなく、セルプ協の内から生み出された政策提言であることは明かである。

 これもかねてからの提案だが、機能に着目した体系として障害者が働く場に、良質な仕事が安定的に流れる仕組みづくりを図る必要がある。官公需に関しては、厚生労働省、総務省から各公共団体等に、その促進のための通知が出されたが、一方で欧米でも実施されている企業から良質な仕事が流れる仕組みづくりが欠かせない。そのため、企業にとってインセンティブが働く方策として、税制優遇や見なし雇用などがある。こういった仕組みが確立されることにより、高い就労収入と実際の生活の向上につながっていくことになる。

 今後とも、セルプ協が基本とする「障害があっても、またその障害が重くても、働くことを願う方々に配慮された環境と適切な支援の下に、安心して働く場を提供する機能」の確立を推し量っていかなくてはならない。

福祉新聞 2005.8.1(月)