●障害者自立支援法案

  医療費軽減措置

 公費負担医療についても福祉サービスと同様、利用者負担は一割の「定率負担」とし、入院時は「食費」を自己負担する仕組みになる。現行制度では精神通院医療は医療費に着目した定率負担、更生医療と育成医療は所得に着目した応能負担なので、これらを医療費と所得の両方に着目した負担の仕組みに統一し「自立支援医療」と呼ぶ。

 ただ、自立支援医療の対象者は所得に制限があり、所得税額が三十万円を超える世帯は公費負担の対象にならない。医療保険の三割負担となる。また、自立支援医療の「世帯」は福祉サービスの世帯の範囲とやや異なる。住民票上は一つの世帯でも、異なる医療保険加入している家族は別世帯として扱う。

 一割負担に関しては、原則として医療保険の負担上限額があるが、低所得者には所得段階に応じてより低い上限を設定し配慮する。また課税世帯であっても、継続的に医療費の負担が発生する疾病・症状であったり、高額な費用負担が継続したりするケースは「重度かつ継続」に該当し、これも所得階層に応じて月額負担上限が設定される。

 例えば、いわゆる「三十二条」と呼ばれるケースでは、統合失調症のためデイケアを利用している人などが考えられる。現行制度では所得に関係なく一律5%負担のため、医療費が月十五万円とすると自己負担は一律七千五百円。これが新制度では所得によって異なってくる。住民税非課税世帯で障害基礎年金二級(低所得1)の人は二千五百円が上限、年金一級(低所得1)の人は五千円が上限になる。

 課税世帯の場合は所得の条件がこれに合わないので一割負担の一万五千円となるが、統合失調症が「重度かつ継続」の範囲に入っているので、所得税が非課税なら上限は五千円に、所得税が三十万円未満なら上限は一万円になる。

 更生医療に関しては、例えば、小腸機能障害があり、中心静脈栄養を受けている人などが考えられる。月に医療費が二十二万円とすると一割負担で二万二千円。これも「重度かつ継続」に該当するケースなので、所得税が三十万円を超えていても自立支援医療の対象となり、一割負担で二万円が上限になる。所得税が三十万円未満なら一万円が上限、所得税が非課税なら五千円が上限となる。

 ただ、現行法の更生医療では住民税非課税世帯は全額公費で負担され利用者の負担はゼロ円のため、新制度によって負担が生じる人が出る。上限は年金一級の人で五千円、二級の人で二千五百円。

 なお、育成医療の激変緩和の経過措置とは、高額療養費分を償還払いではなく現物給付にする仕組み。窓口で高額な負担をしなくても良いようにする。しかし「低所得」にも「重度かつ継続」にも入らない中間所得層の育成医療では親の負担が高額。そこで、六日の国会審議で尾辻厚労相は「中間層1は上限1万円、中間層2は四万二百円にする」と新たな軽減措置を明言した。

 また「重度かつ継続」の範囲については確定したものではなく、新たな軽減措置を明言した。

 また「重度かつ継続」の範囲については確定したものではなく、実証的な研究を踏まえ順次見直しながら対象を明確化していくことになっている。

福祉新聞 2005.10.10(月)