●利用者に不安・困惑

  自立支援法案の審議前に きょうされんフォーラム

 きょうされんが九月二十三・二十四両日に宇都宮市で開いた「全国大会inとちぎ〜信じようひとりひとりの力 集めようみんなのねがい つくろう夢ある社会を!」では、作業所の利用者が発言するフォーラム「聞いてください、私たちの夢と希望を」が行われた。

 登壇したのは?生さゆりさん(広島)、辰村泰治さん(埼玉)、高橋英代さん(東京)の三人。それぞれ障害者自立支援法案のことが気がかりだと言い、「どうして働きに行っている所へお金を払うことになるのか」「今の年金暮らしでは生活していけなくなる」などと訴えた。負担増は受け入れられないのだと言う。

 ただ、?生さんは「法案に反対。でも、自分がどう行動したら良いかはよくわからない」とも率直に語っており、国会での法案審議を控え、不安や困惑が利用者の間で広がっている状況が浮き彫りになった。

 一方、大会で基調報告をした。藤井克徳常務理事は、いったん法案が廃案になった経緯を振り返りながら「正論は必ずしも世論とはならない」と指摘した。

 法案には様々な団体が要望してきたことが盛り込まれており評価できる点はあるものの、障害者施策に「応益負担」の考え方が盛り込まれることは成果を打ち消して余りあるという見解だ。

 きょうされんは、法案への緊急提言として@利用者負担は定率負担でなく応能負担にA家族負担の撤廃をB所得保障の確立をC障害定義、認定制度・等級制度の改訂をD法的根拠を備えた社会資源の増量策をE障害福祉の実体法の一元化をF施設体系の簡素化と小規模作業所問題の解消をG障害関連行政組織の改組を――と挙げている。

 藤井氏は「八項目は根幹に関わる施策だし長年の懸案事項でもある。立法作業の中でこれらの点が網羅されるべき。時間を要する項目は検討の方向や検討体制が明示されるべき」と訴えた。


福祉新聞 2005.10.10(月)