●障害者自立支援法案−参院審議入り

  来年4月施行目指す

  社保審部会、利用者負担に懸念も

 九月三十日に再提出された障害者自立支援法案の国会審議が始まり、五日の参議院本会議で尾辻秀久・厚生労働大臣が「改革を一刻も早く実現したい」と来年四月一日の法施行を目指し、法案の趣旨を説明した。厚生労働委員会では六日から本格審議が展開されており、最も早ければ来週中にも参議院で採決が行われる見込みだ。一方、民主党が五日には提出したいとしていた対案「障害者自立支援・社会参加促進法案」は、提出の予定日がずれ込んでいる。

 今国会に再提出された障害者自立支援法案は、廃案になった法案に前国会の衆議院で修正された点を盛り込んだもの。大きな変更点は、法の施行日を来年四月一日にしたことだ。新しい制度を周知したり、地方自治体が準備したりする期間を取っている。

 施行日に関して当初の法案は「自立支援医療」の利用者負担を今年十月から導入することを想定していたが、国会審議の遅れが影響し、「福祉サービス」と足並みを揃え来年一月に贈らせた経緯があった。再提出された法案では「自立支援医療」の施行日も来年四月とし、施設・事業の段階的移行、児童入所施設の契約制度への移行などについては来年十月からとした。

 このほか当初案と再提出案との違いは法の目的に「障害者基本法の理念にのっとる」ことを加筆した点。また検討項目として、「障害者等の範囲」を検討することを明記、「障害者等の所得の確保」についても検討することが新しく加わっている。

 一方、野党各党はこの法案に反対の姿勢を取ってきたが、民主党は対案となる「障害者の自立の支援及び社会参加の促進に関する法律案」を今国会中に提出する準備を進めている。

 民主党は前国会で「障害者の所得保障制度の確立と低所得者の負担軽減策の具体的な拡充が実現されるまで定率負担の導入は凍結すべき」と与党に法案修正を求めていた経緯があり、対案においてもいわゆる「応益負担」は盛り込まないスタンス。精神障害者にも支援費制度を導入した上で、国と都道府県の財政負担を義務化したい意向だ。

 なお、4日の参議院予算委員会でも自立支援法案が話題に上った。共産党の小池晃議員が「痛みを弱いところに押しつける法案だ」と負担増問題の追及を続けたが、小泉純一郎首相は「身ぐるみを剥がすような考え方は誤解だ」と反論、尾辻厚労相も「収入のない人にまで負担をしてもらうものではない」と説明した。

◆厚労省、解説資料を作成

 障害者自立支援法案が国会へ再提出されてから初めての社会保障審議会障害者部会(部会長=京極高宣・国立社会保障・人口問題研究所長)が五日に開かれ、厚労省は法案の変更点などを報告した。

 中村秀一・社会・援護局長は「障害保健福祉施策を強化するため普遍的な仕組みに改革する大きな一歩となる法案。早期に成立させたい」と語り、利用者負担の内容を分かりやすく伝えるために厚労省が作った解説資料も示した。「あなたの利用者負担はこうなります」と題し、どのような軽減措置があるかを一覧表にまとめたものだ。

 法案の再提出、利用者負担に関する詳細説明を受け、委員からは質問が相次いだ。具体的なケースを挙げ、対応を尋ねるものが多い。最大の不安事項なだけに、今後も議論を呼びそうだ。

福祉新聞 2005.10.10(月)