●障害福祉サービス 利用者数に地域格差

  厚労省 市町村の実施率は改善

 厚生労働省は五日、全国の障害福祉サービスの実施状況をまとめた速報を公表した。ホームヘルプサービスの実施率では支援費制度施行時より改善したが、利用者数を都道府県別に見ると最大6・3倍の格差があることなどが分かった。厚労省は「介護保険と比べ地域間格差は大きい」「障害者施策は施設偏重にある」と分析している。

 調査対象は全国二千五百一自治体(二〇〇四年十月末現在の全市区町村)の訪問系、通所系、居住系の各サービス。〇四年十月分の利用実績を利用者単位で集計した。障害者自立支援法案の成立と施行を視野に入れ、給付の見込みと実態把握に取りかかったもので、今後、国が障害福祉計画の基本指針を策定したり報酬基準や国庫負担基準を検討したりする際の下敷きともなる。

 在宅系サービスの利用者は二十六万四千二百人で、このうちホームヘルプサービスの利用者は十万六千九百人、その過半数を身体障害者が占めていた。これに対して知的障害者は通所施設とデイサービスを多く利用している。

 一方、施設入所者は十四万千三百人で、このうち七割を知的障害者が占めていた。グループホーム利用者二万千八百人についても、八割を知的障害者が占めた。

 中でも人口十万人あたりのホームヘルプサービス利用者数を都道府県別に比較してみると、最多の大阪と最少の秋田で6・3倍もの差があった。一人当たりの平均月額費用についても、最大の東京と最小の岩手で3・3倍の差があり、地域間格差の大きさが浮き彫りになった。

 また、サービスの実施状況を障害別に見ると、ホームヘルプサービスの実施率は身体83%、知的66%、精神49%、児童49%、支援費制度が始まった〇三年四月段階の実施率からは前進したものの、精神と児童では未実施の自治体がなお過半数を占めることがわかる。

 ただ、未実施の多くが人口規模の小さな自治体のため、人口規模の大小は加味されていない。そこで実施自治体の人口が総人口に占める割合でも比較したところ、身体・知的では九割超、精神でも八割近くの人がカバーされていた。

 また通所系サービスでは、通所施設の実施率が身体42%、知的81%、デイサービスの実施率が身体51%、知的45%、児童53%とばらつきがある。さらには、ショートステイの実施率が身体38%、知的61%、児童56%なのに対して、精神6%の低さが目立った。

一方、グループホームの実施率は知的76%、精神27%、入所施設は身体93%、知的97%となっており、在宅・通所サービスと比べて、大部分の自治体で入所系サービスは実施されている。

福祉新聞 2005.10.24(月)