●資格取得を支援し自立へ静岡県社会就労センター協議会会長 山内 令子 長引く経済不況は、障害者の雇用状況に対しても非常に厳しい影響を及ぼしています。静岡県社会就労センター協議会では、行政や会員施設が連携しながら、障害者の就労を支援し、社会自立を図ることを目的に活動しています。 作業所や授産施設では、障害のある方でも皆さんが大変意欲的に働いていたり、地域で暮らして自分にあった仕事を見つけたいと働く意欲をもちながらも就職する機会が得られない方が大変多いことから、資格取得の可能性について検討してきました。 そのような状況の中、二〇〇〇年に滋賀県で「知的障害者ホームヘルパー養成研修・就労モデル事業」が実施されたことを知りました。さっそく職員を派遣し、事業についての詳細を教えて頂き、静岡県独自の取り組みを進め、〇二年度から「知的障害者ホームヘルパー養成研修事業」を開始することになりました。 この研修は静岡県が県内三カ所の社会福祉法人に委託し、静岡県社会就労センター協議会、静岡県社会福祉協議会が協力して行うもので、知的障害者がホームヘルパー三級の資格を取得することで介護現場等での就労の場を広げ、社会自立を促進することを目的としています。 〇二年七月に受講生の募集を開始すると予想以上の反響があり、三十人の定員を大きく上回る申し込みがありました。 ホームヘルパー三級養成研修は、主として清掃や洗濯、調理などの家事援助を行えるホームヘルパーを養成するもので、本来は五十時間の研修で取得できます。しかし、今回の研修はより確実に知識や技術が習得できるよう百時間のきめ細やかなカリキュラムに編成し直して実施しています。研修は静岡県の東部地区、中部地区、西武地区の県内三会場で行い、各法人のスタッフが中心となり、講師を務めています。 テキストについては滋賀県のものを参考にさせて頂き、言葉遣いや用語の説明を簡単に分かりやすく作成しています。 実際の研修では、受講者の理解を見極めながら講義や実習を進め、一方的に話をするのではなく質問を交えたり、集中力が途切れないように休憩を適宜入れるなどの配慮をしています。 受講者は研修に対して前向きで意欲が高く、全員が一日の欠席もなく修了しているということは大変素晴らしいことだと思います。 静岡県社会就労センター協議会=社会就労センター(授産施設等)の連絡調整を図り、その健全なる運営と授産事業の発展を図ることを目的に設立される。会員施設は県内の身体障害者授産施設、身体障害者通所授産施設、身体障害者福祉工場、知的障害者授産施設で計二十七施設。事業は@総務委員会A調査研究研修委員会B事業振興対策委員会の各専門委員会を中心に、会員施設相互の連絡調整、授産事業に関する調査研修、授産事業活性化対策事業、施設利用者の健全育成に関する施策の推進などを展開している。 福祉新聞 2005.9.5(月) |