●障害者自立支援法案 修正協議“物別れ”

  与党「一方的打ち切り」

  民主「要求にゼロ回答」

 障害者自立支援法案をめぐる不安が増大している問題で、障害者や家族の不安を解消するために法案の修正協議を水面下で勧めてきた与党と民主党が、六月二十四日までに相次いで交渉が“物別れ”に終わったことを発表した。「協議すると言っているのに一方的に打ち切られた」とする与党、どちらにも言い分はあるが、かみ合うところがなかった。

 修正協議は、民主党が修正すべきだと考える九項目を六月八日に示し検討を求め、与党がこれに応じる形で動き出した。しかし、民主党が設けた回答期限の二十二日までに与党が「中間的なもの」と示した九項目の考え方は、民主党から見ると「ゼロ回答」だった。

 民主党が掲げた修正要求項目は、@所得保障と低所得者の負担軽減策拡大が実現するまで定率負担の導入は凍結する。A自立支援医療を今年十月から実施するのを凍結するB移動の保障として個別給付の「重度訪問介護」「行動援護」の対象を拡大する。C重度障害者の非定型・長時間サービスも義務的経費の対象にする――ことなどかなり踏み込んだもの。

 障害種別にグループホームとケアホームへの入居を振り分けは行わないこと、障害程度区分の認定や支給要否の決定を行うに当たり障害者や保護者が求める場合は意見聴取を義務とすることなども要求した。

 これらに対する与党の二十二日の返答は、一項目ずつ「法案修正の必要はないと考えるが」としつつ「引き続き協議したい」とするもの。そこで、民主党は修正協議打ち切りを決定した。

 一方、与党はこれを不満とし、翌二十三日に厚生労働省で記者会見を開き、自民党の長勢甚遠・政務調査会副会長と公明党の福島豊・政務調査会副会長が「修正協議打ち切りを撤回し、与党との協議を継続すべき」と声明を発表した。

 与党は「民主党からの早期回答要請に応えるため、極めて短期間での検討の中間的なものとして回答した。修正協議項目が法案の骨格にかかわる広範・多岐にわたるものである以上、最終的な結論を短期間に示すことはできない。この段階でゼロ回答と断ずること自体、不誠実な協議申し入れだ」などとしている。

 この与党声明に対し、民主党は仙谷由人・政策調査会長が二十四日に反論。「与党が修正協議継続を求めてくるのは欠陥法案の証」などと談話を発表した。

 法案をめぐる修正協議は混迷の様相を見せており、都議選後に再開される審議にも影響を及ぼしそうだ。

福祉新聞 2005.7.4(月)