●障害者差別、条例で禁止に

 千葉県が全国初 地域生活づくり宣言

 千葉県(堂本暁子知事)は八日、障害者計画の策定に合わせて、障害者が地域で暮らすための支援の充実を決意表明する「千葉県障害者地域生活づくり宣言」を発表した。計画には、障害者を禁止する条例を全国に駆けて制定する方針を盛り込み、国が障害者差別禁止法を制定するよう刺激したいとの姿勢も見せる宣言の根底にあるのは、障害者が入所施設や精神病院を出て地域で暮らすことを応援するには地域での支援充実が不可欠の考え方だ。

 「これは役所ではなく、障害者が作った計画。宣言も、千葉県民の決意」と堂本知事は講らしげだ。

 計画のサブタイトルは「誰もがその人らしく地域で暮らすために」。一年がかりの策定作業には障害当事者が参画しただけでなく、タウンミーティングやパブリックコメント通じて県民の取り入れたと言う。

 重い障害があっても地域で暮らしたいと思うたいと思うのは当然の権利だと考える一方、県内にも障害者が病院で暮らしている現実がある。彼らが地域へ戻れるようにするには地域づくりが必要との視点で計画は作られており、宣言その方向性をアピールするものだ。

 宣言には二百ページに及ぶ計画のエッセンスが詰まっている。中でも、憲独自に作る障害者差別禁止条例の策定は、全国初の取り組みとなる。

 条例策定には一年くらいかかることを想定しているが、どのようなことを障害者は差別と感じているのか、極端な差別事例では罰則を課すべきかなど、関係者の意見を聞きながら検討していく。

 また、計画にはできる限り具体的な施策・事業が盛り込まれた。@重度・重複障害者や医療ケアの必要な障害者が利用できるグループホームの創設を検討し、グループホームの支援ワーカーを配置するA「障害者就業支援キャリアセンター」を充実させるB福祉サービスの利用や権利侵害などについて相談できる「中核地域生活支援センター」を立ち上げる−がその主な方向性。差別禁止条例の策定は、これらの施策と並ぶ位置づけだ。

 障害者施策をめぐる県レベルの取り組みとしては、今年二月に浅野史郎・宮城県知事が「知的障害者入所施設の解体宣言」を発表した。県の障害者施策を地域生活重視に移行するために地域のサポート体制を充実させようと、その覚悟を「解体宣言」という言葉で打ち出した。

 その翌月に聞かれた社会保障審議会障害者部会で堂本知事は「とても千葉県では施設解体を宣言できない。袖ヶ浦には五百人の知的障害者が入所するコロニーがあるが、全員が地域に戻れるようサービスを作るのはほとんど不可能。入所か居託の二者択一ではなく、いろいろな選択肢があっていい」と発言している。今回の千葉県の宣言にも入所施設の改革は明記されているが、壮大な取り組みになるだけに「今後二年間で百人程度の地域移行を実現したい」「一つずつ粘り強く実現に向け取り組みたい」としている。

福祉新聞 2004.7.19(月)