●福祉有償 来年度中に運営協設置

  札幌市表明「共同配車」前進へ

 札幌市は来年度中に福祉有償運送事業の運営協議会を設置する。10日開催された札幌市社会福祉審議会で中田鉄雄・保健福祉局保健福祉部長が「来年度に運営協議会を立ち上げる準備を進めていきたい」と述べたもので、同市が運営協の設置を正式に表明したのは初めて。同市ではタクシー事業者とNPOボランティアの共同配車センターが10月に運営開始したものの、タクシー事業者主導の変則的な事業活動を強いられている。共同配車の条件となっているNPOの80条許可取得が、運営協が設置されないためできないからだ。同市が設置の方針を最終的に固めたことで共同配車事業も多く前進する見通しとなった。

 道内の運営設置状況は昨年7月、枝幸郡歌登町で初設置されて以降、江別市、枝幸郡中頓別町、雨竜郡秩父別町の3地域で設置を検討している。札幌市は共同配車センター設置の動きをにらみながらも、運営協の設置方針を明確にしていなかった。

 10日の社会福祉審議会では、共同配車センターの代表を務める島津淳委員(STS協議会議長、北星学園大学助教授)が市側に運営協の設置方針を確認質問したところ、中田保健福祉部長が「来年度には設置したい」と述べた。同市の方針では、国土交通省によるNPO有償運送事業のガイドラインで定めた猶予期間が来年度末で切れ、それ以降は違法状態なるため、遅くとも来年度中に設置する方針。今年度内に設置し申請手続き期間を1年間置くのが理想だが、年度内設置は時間的に難しいという。

 設置方針の明確化が遅れた理由は、道と全道ベースの運営協設置を調整していたため、としているが道側は市に単独先行で設置を促したようだ。

 札幌市共同配車センタ−は法人タク7社とNPO5団体で運営している。運営協が設置されると、NPOのホップ障害者地域生活支援センター、サポート24、五合庵・しょうがい者地域生活支援センター・キートス、DPI北海道ブッロク会議などが80条許可を申請するものとみられる。

東京交通新聞 2004.11.22(月)