●全福協-タク主体の制度求める

  有償運送-次回小委で方向

 タクシーとNPOボランティアが協働する福祉輸送の制度設計を描く国土交通省の第2回有償運送検討小委員会(自動車交通局長の私的懇談会、委員長=山内弘隆・一橋大大学院商学研究科長)が13日、同省で開催。タクシー・NPO双方から率直な意見表明があり、論議が活発化した。来年3月末に道路運送法80条許可取得の猶予期限が切れるNPOボランティア側は緊急性を帯びているとし制度設計を急ぐよう主張。これに対し、タクシー側は統一した安全担保措置など十分時間をかけた慎重な対応を求めた。来月15日開催の次回小委で一定の方向を打ち出す。

 第2回小委のテーマは運営委員会の課題と安全確保方策。議論ではまず、川村泰利全国福祉輸送サービス協会副会長がタクシー業界の基本スタンスを表明、「80条による許可は期間限定とし、それ以降は運送事業者として許可を取るよう指導すべき」とし、「タクシーは本来のセダン型車両で日常的に福祉輸送と向き合っている。都内タクシー1社(300台)だけで年3万回の実績があり、タクシーがこの分野で手は抜いていない。NPOにセダン車両を安易に開放せず、まずタクシーの資源を有効活用すべき」と、タクシーを軸にした制度設計を主張した。

 続いて全福協の兼元秀和副会長が「NPOの登場にはタクシーも反省しなければいけないが、京都では全福協京都支部が全移動制約者の輸送に責任を持つ方向で対応している。タクシーがまずしっかり対応し、できない分をNPOに任せるなどの連携の仕組みが必要」と訴えた。また佐藤雅一副会長が運営協の課題、水田誠副会長が安全確保のあり方を説明した。

 NPO側からは田中尚輝市民福祉団体全国協議会専務理事が「体系化の議論は分かるが、事態は緊急性を帯びている。来年4月以降、運営協が設置されず80条許可が取れず白タクで捕まるNPOが全国半数の未設置の自治体で出てくる恐れがある。そうなると移動制約者は誰が責任を持つのか。事態を招く行政の責任は大きい。タクシーが前向きに取り組めるよう国土交通省も応援すべき」と、制度設計を急ぐよう求めた。伊藤正章東京ハンディキャブ連絡会事務局長は「NPOボランティアに2種免を義務付けろと言うなら、タクシーに介助の資格を義務づけるべき」と応じた。

 秋山哲男首都大学東京大学院教授は「国土交通省と自治体がタクシー会社を活用し生き残れるマネジメント戦略を検討すべき。道路財源を使う方法もある。運営協は、もっと対応できる基準を国で作ってほしい」と提起、「80条許可取得は緊急課題で過去5年の実績のあるNPOは取得を急ぐ一方、福祉輸送もタクシーがやっていけるビジネスモデルを作る両面作戦が必要」とした。関幸子まちづくり三鷹事業部シニアマネージャーが「市民の評価は国のルールより厳しい。NPOはそれに耐え、信用を勝ち得たところがやっている。全国のNPOが自主性を持てるガイドラインにすべき」と述べた。

 急ぐ意見にタクシー側が反発、水田全福協副会長は「今急ぐ気持ちは分かる。だが、これから参入する人のことも考えないといけない。新しい制度には十分時間をかけるべき。拙速は避けたい」と主張。待鳥康博全自交書記長は「安全と地域性は関係ない。全国一律の安全基準を作るべき」と訴えた。

 自治体からは神奈川県の金井信高保健福祉部地域保健福祉課長代理が福祉タクシー券による移動制約者の外出需要調査結果を報告、「無料にもかかわらず、交付申請しない障害者が33%おり、20日に1回の外出需要がある。申請しない理由に介助がない点をあげ、タクシーとNPOが補完し合える需要が潜在する。通院だけでも県内約1024万回の外出需要があり、1人でも動ける要介護2までが62%おり、セダン型車両も需要が大きい」と述べた。

東京交通新聞 2005.10.17(月)