●「全国化」へ調査開始 福祉有償運送セダン型特区

  弊害の有無が焦点

 構造改革特区の効果を検証し全国化の是非を審議する政府の特区評価委員会(委員長=八代尚宏・日本経済研究センター理事長)は、セダン型自家用車による福祉有償運送事業など17の特区について、今月からアンケートや現地視察などの実態調査に入った。セダン特区調査では、認定自治体とNPO(民間非営利団体)など運送ボランティア、利用者などをアンケート対象とする一方、国土交通省に対し全国化を想定した「弊害調査」を指示した。これを受けて同省はタクシー事業者・団体などにアンケートを始めた。評価委は7月をメドに結論を取りまとめ、特区本部(本部長=小泉純一郎首相)が9月に最終決定する。セダン特区全国化は、NPOボランティアが要望しているが、タクシー業界は安全性などを理由に反対している。

 特区評価委は2005年度上半期調査計画として、セダン特区の検証をピックアップ。このほど同特区自治体に14項目のアンケートを送付。このうち5項目は「特区を導入して良かった点」「特区の効果は発現しているか」「成功のカギは」など、自治体自身が答える全特区共通の設間。

 このほか9項目がセダン特区特有の質問で、自治体向けは経済効果などを聞く3項目。運送事業者と利用者(移動制約者)、その家族(介護者)はそれぞれ2項目ずつ。すべて記入式で、事業者には同特区のメリットと運営協議会など手続き上の問題点。利用者と家族には生活面の改善具合と有償運送サービスの不便な点を聞いている。締め切りは5月13日。

一方、国交省アンケート項目では、セダン車採用後の会員数の変化や福祉車・セダン別輸送人員、事故の有無・形態など実態面を重視。利用者には運転・介助技術などタクシーとの比較に焦点を合わせている。関係地域のタクシー事業者・団体には経営への影響などを聞いている。評価委は同省の調査結果を同27日までに回収する。

これらを踏まえ、評価委「地域・産業・環境部会(部会長=樫谷隆夫・日本公認会計士協会理事)が審議入り。今のところ現地審議は未定。その後、本委員会が省庁ヒアリングなどを実施する。

東京交通新聞 2005.4.11(月)